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アンダーアーマー「クラブハウス渋谷」

東京・渋谷駅のほど近く、若者が常に多数往来する商業ビル109の斜め向かいに、一見クラブかと見間違うような黒いビルがある。人気のスポーツウェアブランド「アンダーアーマー」の店舗「クラブハウス渋谷」だ。最近では8月5日、吉祥寺に「ブランドハウス吉祥寺」をオープンさせたばかりのアンダーアーマーが勢いを増している。

1996年、ボルチモアにある祖母宅の地下室で創業

米国アンダーアーマー社が今年4月に発表した2015年第1四半期決算によると、売上は前年同期比25%増の8億500ドル、日本円にして966億円(1ドル120円換算)となった。これでは20四半期連続で前年同期比の売上増だ。2015年の年間売上の見込みも37億8,000万ドル(4,536億円)。前年2014年の売上30億8,400万ドルから23%増。時価総額は今や180億ドル(2兆1,600億円)に達し、PER(株価収益率)は87倍だ

世界のスポーツ用品業界の競争は熾烈を極めている。1位は言わずと知れた米ナイキ社で、2014年5月期の売上は278億ドル(3兆3,000億円)、2位は独アディダス社で、同12月期の売上は145億3,400万ユーロ(1兆8,300億円)だった。3位は独プーマ社で同12月期の売上29億7,900万ユーロ(3,700億円)。ここに日本のアシックス社(15年12月期の売上見込みは4,230億円)と、米アンダーアーマー社が激しく争う状況となっている。

アンダーアーマーは1996年、米ワシントンD.C.近くのボルチモアでケビン・プランク氏(CEO)によって創業された新興の会社だ。当初は祖母宅の地下室で活動している。製品売り上げの7割をはアパレルウェアが占めており、メンズを中心にレディース、キッズ向けと幅広く展開している。また、その種類はランニング、ベースボール、サッカー、バスケットボール、ゴルフなどの各ウェア、シューズやアクセサリーに加え、最近ではチノパンツも発売するなど、商品構成は実に多様だ。日本では、株式会社ドーム社がライセンス生産から販売までを行っている。

直営店の展開、巨人などスポーツチーム、アスリートとの契約に注力

現在、日本国内では中間取引業者を入れずに販売している。直接取引の小売店はおよそ1,000店。直営店の展開に力を入れている理由は、「アンダーアーマーブランドだけが持つの3要素」をより深く理解してもらうためという。それは、「STORY(ブランドの歴史や姿勢)」「PERFORMANCE(機能性とベネフィット)」「EXCITEMENT(ブランドが持つ独特のワクワク感)」だ。

2010年のアンダーアーマークラブハウス天王洲の開店以来、2014年には立て続けに大阪心斎橋、名古屋栄、札幌大通、東京ドームにオープンした。さらに今年は吉祥寺のほかにも、三井アウトレット北陸小矢部出店・同大阪鶴見店を増床した。

出店だけでなく、アスリートやスポーツチームとの契約締結も加速させている。今年1月にはプロ野球の読売ジャイアンツとの5年間のパートナーシップ契約を締結し、公式ライセンス商品「G-Armour」を展開している。これまでに、大宮アルディージャ(Jリーグ)、琉球ゴールデンキッズバスケットボール)、パナソニックワイルドナイツ(ラグビー)などのユニホームサプライヤーとなっている。アスリート個人しての契約も、阿部慎之助(プロ野球・ジャイアンツ)、糸井嘉男(同・オリックス)、高野人母美(ボクシング)などと交わしている。

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