直前になって上場を中止した企業が相次ぎ、話題となっている。

8月上旬には、美容・健康サイトを運営するリッチメディアは上場が差し迫った4日前に上場中止を発表。さらに、同月27日には、ネット広告支援を手掛けるネットマーケティングは上場3週間前に上場中止を発表し、上場間近での株式公開の中止が続いた格好だ。上場直前での中止の理由は何なのだろうか。

市場環境自体は好転しており、株式を上場する企業自体は増えている。株高による追い風もあり、2014年は新規上場企業は77社と、5年連続で増加。今年1月から7月にかけてすでに、49社が上場しており、今後も増加する見込みだ。

また、現在は、株式上場を目指す企業にとっては好環境でもある。株式上場をすれば、多額の資金調達ができ、運営資金不足に悩まされる事態も大きく減る。加えて、会社の知名度も向上し、取引先からの信用度も上がり、人材採用も行いやすくなる。このように株式上場のメリットは大きく、会社の経営者であれば誰でも、一度は夢見るものだ。

上場中止の理由は?

美容と健康サイトを運営するリッチメディアが、上場予定日の8月10日まであと4日に迫った8月6日に、上場中止を発表。リッチメディアの坂本幸蔵社長は日経新聞に対して、2015年6月期の決算が予想していた値に届かなかったとコメントしている。IRでの発表では、「内部統制の有効性に関して確認すべき事項が発見された」ことが中止の理由とされている。

坂本社長のコメントとIR発表の内容から推測するに、会社予想で計上していた売上や利益の金額の妥当性をチェックする仕組みがうまく機能していなかったのではないだろうか。東芝 <6502> の問題もあり、売上や利益といった数字のチェック体制を東京証券取引所は厳しくみていると言っていいだろう。内部のチェック体制の不備が即粉飾というわけではないものの、十分に機能しているかどうかという体制そのものが問われる可能性がある。

一方、ネット広告支援をてがけるネットマーケティング社はどうなのだろうか。ネット広告支援が事業内容となっているが、具体的にはFacebookを活用した男女の出会いをメインとしたサービス『omiai』を運営している。同 社は上場中止理由を、「当社を取り巻く事業環境の変化に関連して、今期業績に与え得る影響を慎重に確認すべき事項が発見された」としている。

自社が理由か、外部が理由か

リッチメディア社とネットマーケティング社とでは上場中止理由は異なる。リッチメディア社は内部統制の不備から、またネットマーケティング社は外部の事件を契機に、それぞれ自社の体制整備を迫られたようだ。

いずれにしても自社体制のさらなる整備が求められており、上場を目指す企業は、外部環境の急激な変化に耐え得る組織体制を求められているのだろう。株式上場は簡単ではないが、上場すれば社会的信用も高くなる。社会的信用を得るににふさわしい企業に、これからも多く上場して欲しいものだ。(ZUU online 編集部)