どこまで集客し続けられるか物産展

もうひとつの顧客争奪戦の地上部隊は、店外催しとは反対の店内催し担当チームである。主に、7階や8階の上層階で行う商品催しを担当する。代表的な店内商品催しが、一度は行ったことのある「北海道展」や「九州物産展」である。関西の百貨店で一年間に開催される物産催しは、数十本に上る。店内催しはシャワー効果と言われ、一旦上層階に上がった客が下りてきて、階下のフロアを潤す効果を言うが、これはその催しが成功し当たった場合である。

物産催し内容に、バイヤー開発のオリジナルグルメなど独自性で対決するが、たとえば大阪地区で百貨店数店舗が春と秋に開催すると、それだけでも年間10本は下らない。確かに人気があり集客効果は他の催しより圧倒的に高いが、一方で食傷気味というのも事実だ。間もなく「秋の大北海道展」が「新企画」を引っ提げて開催されるが、結果はどうだろう。

まず、大阪の中央に位置する心斎橋の巨艦、大丸百貨店は9月16日、シルバーウィークを前にして秋の定番「大北海道市」をスタートする。ちなみに、商品催しでは異例となる「2週間開催」だ。時期を同じくして、南に位置するあべのハルカス近鉄本店では、これまた定番の「九州大物産展」で対抗。

あべのハルカス近鉄本店が「16日」に開催するのには理由がある。"北のライバル"阪急梅田本店が同様の「秋の九州物産大会」を23日に控えているためだ。

大阪エリアが派手な顧客争奪戦を繰り広げる一方で、至近距離の京都地区の巨艦百貨店も、とっておきの名物催しで対抗する。その雄が京都高島屋の伝統食品催しの「味百選」で、ご当地物産催しとは一線を画した催しで大阪にストップをかける。

消費者にとっては楽しみな物産イベントが控えているが、お互い同じようなことをしていたのでは、単なる売上高の奪い合いとなってしまい、お互いの体力を削りあうだけだ。

競い合うのも良いが、共倒れにならないようには増加傾向にある外国人観光客に対し、大阪の百貨店が一丸となってアピールするのも一案だろう。

2013年に日本政策投資銀行が発表した業界展望レポートでも、相次ぐ増床が売上高増加に必ずしも結びついていないのではないか、という懸念が報告されている。今後の人口減少が見込まれるうえ、ターミナル利用者が減少しており、かつ消費性向も低下していることが主な原因とされている。

そんななか、今年4月には、三越伊勢丹の跡地にJR西日本SC開発が国内最大級の駅型商業施設として「ルクアイーレ」をオープン。同館内には、ジェーアール西日本伊勢丹が核テナントとして出店し、競争がさらに加熱している。

日本屈指の「百貨店集積地区」となった大阪"秋の陣"、大阪の体力を削ぐような消耗戦だけは避けたいところだ。(ZUU online 編集部)

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