財務省の狙いは預金口座情報の入手ではないか

財務省もマイナンバー・カードを利用した還付制度の導入を本気で考えてはいないのではないか。今でもクレジットカードを利用できない個人商店は少なからず存在しており、そうした店舗にもあまねくマイナンバー・カードのリーダーを設置することは、ほぼ不可能と考えられる。

単に還付型の軽減税率を導入するだけであれば、医療費控除のように確定申告書に領収書を貼付して提出させれば足りると思われる。国民にとって税込み22万円分のレシートを整理し集計するのは面倒だが、家計簿をつける手間と比べれば、それ程大きな負担ではないだろう。税務署が申告内容をチェックする作業も増えるが、それこそ還付上限額を1人4000円に設定するのであれば、多額の費用をかけて精緻な検証を行う必要もない。

財務省の本音は、還付制度を通じ預金口座情報を収集したいということではないだろうか。現在のマイナンバー制度では、預金者が銀行にマイナンバーを通知する義務を負っていない。「消費税還付を通じ幅広く口座情報を収集するとともに、銀行のマイナンバー情報提供に対する抵抗感を薄める狙いがある」という想定は、あながち間違ってはいないだろう。(有賀 英司、金融コンサルタント)

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