あなたのお金の管理方法は大丈夫?
あなたは毎月の給与やボーナスをどのように管理しているだろうか。資産運用をすでに行っている方もいる一方で、とりあえず定期預金をしている方や、給与振込の普通口座に預けっぱなしの方も多いのではないだろうか。
ニュースや新聞でもよく耳にするように、現在の日本は超低金利である。普通預金や定期預金に預けたままでは、資産を殖やしていくのは難しい。。とは言え、知識のない初心者がいきなり資産運用に手を出したら、大怪我を負う可能性がある。また、そもそも何から始めればいいのかわからない。そう感じている方も多いだろう。そこで、今回はそのような資産運用初心者の方が押さえておくべきポイントを紹介する。
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「資産運用=投資」というイメージは間違い
資産運用と聞くと自分の資金を何かに投じ、利益を得ようとする投資の一面にばかり目が行ってしまう人が多い。しかし、それは資産運用の一部分にすぎないのである。それよりも、資産運用は「資産の分配」と捉えたほうが良い。まずはお金をどのように分類・分配すべきかを説明していこう。「お金」は、その目的によって大きく3つに分類される。
貯蓄にあてるお金
まずは、食費や日用品費など、日常生活において必要となってくるお金である。このお金はすぐに使うことのできる状態にしておくことが望ましく、普通預金等の流動性が高い状態で管理するべきお金である。日々の生活では病気で急に働けなくなったとき、仕事がなくなってしまったときなど、一時的に収入がなくなってしまうことがあることを考えると、余裕をみて向こう6ヶ月分の生活費を貯蓄しておくことが望ましい。
長期運用にあてるお金
子供の教育費や老後の生活費など、将来必要となる資金を確保するため、長期的に育てていくお金である。このお金は将来に向け、一定の生活水準を確保するために運用するものであり、中長期の見据えた運用が重要である。どれほどの額をこのように運用するかは、個人個人のライフプランによる。この「ライフプラン」については後に詳しく説明する。
短期運用にあてるお金
多少のリスクを払ってでも、大きな利益を得るために投資にあてる「お金」である。この一攫千金を狙った投資は必ずしも全員が行うものではない。普段の生活費の確保と長期的な資産運用を行った上で、さらに余裕がある場合にチャレンジすれば良い。初心者のうちは、無理をしてまで行わなくても良いだろう。
以上の、貯蓄にあてるお金・長期運用にあてるお金・短期運用にあてるお金、の3つに自分の資金を分配することが資産運用の大事なポイントなのである。「資産運用=投資」というイメージにとらわれず、より広い視点から資産運用を捉えることが肝要だ。
なぜ資産運用をするのか?
「資産運用は今後大事である」と序盤で述べた。また、このようなことは他でも耳にしたことがあるかもしれない。しかし、そもそも資産を増やす必要などあるのだろうか?資産運用には利益を得られるメリットがある反面、どうしても資産が減るリスクが付きまとう。それならば、普通預金などをしておけば、資産も減ることなく十分なのではないのだろうか?以下のケースを考えてみよう。
今は会社で働いて定期的な給与収入があっても、退職して働かなくなる老後はすべての人に必ず訪れる。ゆとりがある老後には、どのくらいのお金が必要なのだろうか。生命保険文化センターの「平成25年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後の生活する場合、ゆとりある毎日を送るためには月額35.4万円の生活費が必要となる。それに対し、厚生労働省が発表している厚生年金は月額22.1万円。年金だけではゆとりある老後を送るのは難しく、毎月不足額の13.3万円は自分で用意しておかなければならない。
また、平均寿命が延びている日本では、仕事を辞めて収入が無くなってから亡くなるまでの期間が延びているのも事実だ。仮に65歳で退職をし、夫婦2人で平均寿命である83歳まで生きたとすると、少なくとも2,873万円((83歳 – 65歳)×12ヶ月× 13.3万円 )の貯蓄をしておく必要がある。
さらに、老後には急に入院して医療費が必要になったり、マイホームの修繕費が必要になったり、色々と大きな出費の可能性がある。このようなことを考えると、計画的にお金を貯蓄し、資産を増やしていくことが大切なのだ。
資産運用を行うリスク・行わないリスク
将来に向けて資産を増やす必要があることは分かってもらえただろう。とは言え、やはり資産運用には必ず自分の資金を失ってしまうリスク付きまとう。初心者のうちは資産運用についての知識もないので、なおさらである。そのようなリスクを考えたら預金がやはり一番なのではないか。そう感じる人も多いはずだ。しかし、このような考え方は必ずしも正しくないのである。
2013年4月4日、日銀の黒田総裁はデフレ脱却・経済の再生を図るため、「2年程度で2%の物価上昇率を目指す」という宣言をした。このような状態が続くと、どのようなことは起こるのか。もちろん経済が適度に循環するために物価上昇は必要なのだが、これが制御できなくなると厄介なことが起きる。例として、太平洋戦争直後の日本円を見てみよう。日本は当時、国家予算の100倍近い戦費を使っており、この膨大な出費により戦後の日本では5年間で30倍近くという激しいインフレが起こっている。
その結果、預金のみが唯一の資産であった人々は資産をほとんど失うことになってしまった。この際、この人々は適切な資産運用をしていれば、資産のほとんどを失うという最悪の事態は避けることができたのである。
もちろん現代の日本がここまで行くとは考えられない。極端に説明すれば物価上昇とはこういう怖さがあり、預金のみでは対抗できないこともあるということである。資産運用を行うことにはもちろんリスクがある。しかし、何となく損をするのが怖いから、などの漠然とした理由のみから資産運用を行わないこともまたリスクなのである。資産運用を検討だけでもしてみる価値は十分にあると言えよう。
資産運用をはじめるにはまずライフプランから
正しい手順を踏めば資産運用は思いのほかシンプルに見えてくる。資産運用を始めるにはまず、ライフプランを立てることが不可欠である。ライフプランというのは、「いつ(何歳の時に)、いくらお金を用意する必要があるのか。」ということを明確に試算した人生の設計図である。そしてこのライフプランを立てることにより、自分にいま求められている資産の運用方法が見えてくる。
例えば30歳男性で新婚の場合、33歳と36歳で子供が産まれたとしよう。第1子が大学4年生、第2子が大学1年生の時、この男性は55歳。この時期は、子供達の学費が最もかかる。2015年度の学費は、例えば、国立の東京大学だと4年間で約250万円、私立の慶應義塾大学理工学部だと約650万円となっており、子供が実家から離れて1人暮らしをする場合はさらに仕送りをしてあげなければならない。
そこでまず、55歳までに、子供達の学費のために、1,000万円の貯蓄をするという目標をたてる。元手となるお金が500万円の場合、この500万円を30歳から55歳までの25年間で、1,000万円まで運用で殖やす計画をたてるのだ。資産運用では「複利の効果」が得られるため、500万円を年率3%で25年間運用すると、1046.9万円となり、目標が達成できる。
このように、何歳までにいくらお金が必要かというライフプランから資産運用の具体的な目標を定めてみると、分かりやすいのではないだろうか。
以上のとおり、資産運用が必要な理由やそのポイントとなる点をご紹介してきたが、運用についてイメージは湧いてきただろうか。資産運用は一見かなり複雑なことを求められているように見えるが、正しい手順を踏んで行えば意外にもシンプルである。家を買うため、子供の教育資金のため、将来の老後のため、まとまったお金が必要になった時に焦らないためにも、ぜひ資産運用を検討していただきたい。(ZUU online 編集部)
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