②アクティブファンドの投資分散化狙い

一方、アクティブファンドは新規上場銘柄を組み入れるかどうかをまず検討する。今後の株価パフォーマンスが良いと思えば買うし、そうでなければ見送る。分散投資のために保有銘柄の一部を入れ替える場合もある。例えば、第一生命を組み入れていれば、個別リスクを抑えるために、かんぽ生命にも多少振り分けるという動機が働く。

また、ゆうちょ銀行では口座の預入限度額の引き上げが検討されており、それが実現すれば他行から預金が流出するリスクもあることから、一種の保険行為としてゆうちょ銀に一部入れ替える思惑が生じるかもしれない。


③純粋な値上がり期待

最後は、新規上場株への純粋な上昇期待から入る買いだ。この場合も新たな資金でなく、他の銘柄や投資信託を売却して購入資金に充てるケースが多い。上記2パターンと異なるのは、個々の投資家が売却するのは必ずしも同業他社ではない点だ。

当然、このような株価マイナス影響は新規上場の決定時点で予知できるから、関連銘柄はそこから売られることになる。実際、第一生命の場合は、7月末の高値から直近の2ヶ月弱でTOPIXを約14%アンダーパフォームしている。


JAL再上場当時を振り返ると…

ただ、これはあくまで思惑に基づくもので、上述のようなファンドや個人投資家による実需、すなわち実際の売買は上場後に表面化する。その典型例は2012年に再上場した日本航空(JAL)とこれに競合するANAホールディングス <9202> だ。両社の当時の株価動向を振り返ってみよう。

JALが上場した9月19日の両社の終値をTOPIXで割った数値を100として指数化し、相場全体の影響を除いた株価の動きを比べてみる。ANA HD株は、JALが東証に正式に上場申請した同年6月20日からわずか8取引日の間に133から105まで2割強急落した。その後、若干戻す局面もあったが、9月19日以降は再び下落、JALがTOPIXに参入される10月31日の前週には88.5までさらに1割以上下落した。

これに対しJAL株は、上場初値が売出価格とほぼ同水準であったことへの失望売りなどから、直後に1割下げる場面もあったが、その後は堅調に推移、10月末も102ポイントと上場日の終値を上回っている。このように10月末にかけて両社の株価格差が最大13ポイントも開いたのは、まさに前述の実需売買が入ったためと考えられる。

その後は、ANA HD株が上昇に転じる一方でJAL株が下落し、同年末にそれぞれ89、86と逆転したことも、JAL株のTOPIX算入に絡む特殊要因がなくなったからと解釈できる。

今回も同じ経緯をたどる保証はないが、郵政グループの上場前後に第一生命を空売りし、かんぽ生命を上場前の売出期間中か、上場後に安い局面があれば入手するというのは、ひとつの投資アイデアだろう。その場合、郵政グループがTOPIXに算入される年末までにすべて手仕舞うのが得策かもしれない。 (ZUU online 編集部)

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