ピーター・リンチ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ピーター・リンチは、1977年から1990年まで、マゼラン・ファンドの運用にあたり、この13年間に全米でもトップクラスの運用成績をあげ、タイム誌から「全米でNo.1のファンド・マネジャー」と讃えられた人物だ。

その偉業は今も高く評価されており、とくに長期投資の視点でリンチの銘柄選びは驚くべき精度をもっていると、今も注目されている。そのリンチが開示した13の銘柄選択視点の最後にリストされているのが「自社株買い銘柄」の存在だ。


自社株買い戻しは企業が株主に報いる簡単で最良の方法

ロイターによれば、米国企業は2015年3月末までの1年間に5000億ドル以上の自社株買いを実施している。米国株式市場は異常低金利が促したバイアウト(M&A)と自社株買いで、株価の上昇をかなりサポートした実績をもつようになっている。仕組みは非常にわかり易く、低金利のなかで社債を発行し、集まった資金でそのまま自社株買いをすることにより発行株式数を減らす。

これによって株主にとっての価値を高めつつ、経営者は自己保有のストックオプションの価値を合法的に高め、市場では自己資本利益率(ROE)が改善するという企業戦略につなぐことができている。

米国の上場企業ではここ数年自社株買いが大きな株価維持、上昇戦略の根幹をなしてきており、多くの企業がこれを実施することがNYダウを高値水準で安定させることにも寄与してきた。

今ではもはや定石となっているこの手法だが、70年代後半から80年代にこの手法を積極的に実施した企業が限られており、ここでもリンチがいち早くこうした視点で銘柄を物色していたことに驚かされる。


リンチの凄いところ投資視点がそのままワークする

しかも30年以上経過した今日、そうした視点が銘柄選択の主流となってきている状況をみると、その先見性の高さに改めて感銘を受ける。

リンチは「稀代の調査屋」としても高く評価されているが、実際に一般的な投資家や消費者視点で企業を見ている。そして、その中から気になるポイントを有価証券報告書などの公開資料によって徹底分析し、その中身を解明している点が秀逸だ。しかも、そのひとつひとつは難解なものではなく、非常にわかりやすくシンプルなことも大きな特徴となっている。

また、分析視点や手法を知っても、同じような調査や分析を実現するのは大変な労力を要する。すべては真似られないとしても、利用できるところはこれからの投資にも積極的に活用していきたい。(ZUU online 編集部)

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