根底にある「自助努力の精神」

このように、シンガポールの年金制度の根本的な考え方は、政府が自国民に対して強制的に年金の積み立てを行うことを義務づけることで、「自らの老後は自らの資金で守る」ことを促していることです。その代りに、政府は積立金に対して一定の利息を保証することでこれをバックアップしているのです。

おそらく今後の日本においても公的年金のみで老後の生活費をまかなうことは難しい時代になっていくでしょう。したがって、公的年金だけには頼らない「自助努力によるライフプラン」を実行していくことが、老後の安定した生活につながっていくのではないかと思います。


これからは「公的年金+α」の備えが必須

ここ数年の大幅な円安の進行と消費税増税に伴う物価上昇の局面においては、預貯金のみによる資産の保有が実質的な資産価値の減少に繋がっていきます。したがって、保有資産の減少を防ぐ意味においても、「貯蓄から投資へ」の流れはいっそう加速していくでしょう。

これからは、確定拠出年金やNISA(少額投資非課税制度)などの制度を積極的に活用して、公的年金+αの備えをしていく事がますます大切になっていくでしょう。

(*1)現役世代の平均手取り収入に対する年金受取額の比率
(*2)GovernmentPensionInvestmentFund:年金積立金管理運用独立行政法人

永柄 正智(ながえ・まさとも)
ファイナンシャル・プランナー。CFP、FP技能士(1級)、ロングステイアドバイザー。FP TAKE OFF Pte.Ltd/代表 会社URL http://fp-takeoff.com/

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