世界同時株安の引き金となるなど、不安定化の要因になってきた中国経済にさらに、世界経済不安定化の原因になるという懸念が拡大しつつある。7%を上回る成長率をこれまでは堅調に示してきた中国経済だが、一部には「今年の年間成長率7%の達成は難しいのではないか 」 という見方も出てきており、再び世界経済を揺るがせかねないとも受け止められている様子だ。


懸念その1:中国のくしゃみで風邪をひく資源国

中国経済減速のあおりを受けると見られるのが、資源を同国に供給してきた国々で、一部の新興国の、いわゆる、「資源国」の経済だ。中国の輸入がこれら資源国の景気を支えてきた面もあるため、中国の生産活動の活発さが大幅に低下すれば、資源国を中心に景気が 今後、 がくんとスピードダウンする可能性ももちろんあるという。

10月7日にブルームバーグ主催で開催した外国為替フォーラムの中の、経済セッションで講演した第一生命経済研究所経済調査部で主席エコノミストを務める西濱徹氏は、こうした見方を示しながら「中国の輸入に景気を支えられていた資源国の経済もあり、向こう1~2年は勢いを維持するのは難しいのではないか」とその影響への懸念を表明している。

第一生命経済研究所・西濱主席エコノミスト (写真=ZUU online編集部)

「爆食」と言われるなど、その巨大な購買力から世界経済成長の原動力となってきたが、中国購買力の衰えが深刻になれば、資源国経済の成長の歯車も狂い始める可能性もあるといえるだろう。


懸念その2:人民元リスクにさらされる「トラブルド・テン」

中国発の景気減速を引き起こす懸念として無視できないのが、人民元為替の悪影響だ。天津市内の工場で起きた大規模爆発だけではなく、先立って世界市場に大きな波紋を広げた上海株式市場の大暴落も記憶に新しい。こうした経済事件に際した人民元為替への影響にも注意を払う必要がありそうだ。

一方で、今や人民元は、国際銀行間通信協会によれば、第4位の国際決済通過の地位を獲得しており、世界経済において中国の取引量が増加傾向にあることを窺える。