その中で中国人民元の切り下げのリスクに晒される国々について、モルガン・スタンレーは「トラブルド・テン」として列挙。台湾ドル、シンガポールドル、ロシアルーブル、タイバーツ、韓国ウォン、ペルーのヌエボ・ソル、南アフリカランド、チリペソ、コロンビアペソ、ブラジルレアルがそれにあたる。特にこれらの国々では、中国人民元の切り下げのあおりをくらう可能性を排除できそうにはない。
世界経済の成長を牽引する新興国として、注目されてきた国々も含まれており、中国市場が再び不安定化すれば、さらなるネガティブな影響を受ける可能性もまだまだありそうだ。
懸念その3:米FRBの利上げと新興国からの資金流出
中国経済の世界経済全体への影響を無視できないのはさることながら、「中国経済そのものも、国際市場から影響を受けている」と指摘するのは前出の西濱主席エコノミストだ。
米FRBは2015年、9月のFOMCでは金利の引き上げを見送ったものの、イェレン議長は「年内に利上げする」ことを明言しており、米金利が上昇に傾くのは必至だ。ところが、同議長が配慮する理由となったようにFRB利上げで、中国経済も急落しかねないという懸念が存在している。
また、西濱主席エコノミストの指摘によれば、米利上げは新興国からの資金流出を惹起しかねず、もしそうなれば、海外経済の急ブレーキ要因となり得る。「米国の金利がほぼゼロであったことから、同国内で利益を見込めず、利回りも得られなかった。対して、米利上げが行われると、米国から外国に出ていた資金が米国に戻ってくることになり、米利上げに伴い、新興国から資金流出が起こる可能性もある」と同氏は指摘している。
つまり、米通貨当局の利上げをきっかけに、低金利を理由に米国から離れていた米マネーが急激に回帰するかもしれず、グローバルマネーの大移動を起こす可能性が無視できないということだ。新興国サイドではその結果、外貨建債務の負担が増えるのではないか。そのような懸念もある。
同氏によれば、新興国の民間企業は先進諸国のいっせい量的緩和の動きを受けて、外貨資金調達を米ドル、日本円、ユーロで行ってきた。FRBの利上げでこれが、外貨で資金を調達してきた新興国の民間企業の負担増となる可能性もありそうだ。これらの懸念がいずれも現実味を帯びてくれば、中国発の世界経済の急減速というトラブルに再び発展しかねないという見方はあながち、杞憂ではないのかもしれない。(ZUU online 編集部)
【関連記事】
・
日経平均大引けは7日ぶり反落、前日比181円安の1万8141円
・
11月4日上場へ!日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の上場を徹底解剖
・
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・
日経新聞/日経MJから、四季報まで全てネットで閲覧可?その意外な方法とは
・
証券業界に革命?「独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)」に注目が集まる理由