ライブドア事件の反省

ライブドア事件では、虚偽記載が発覚した後、強制捜査の実施や代表取締役社長の逮捕によって信用力・レピュテーションが低下した。さらに上場廃止によって流動性が下がり、上場廃止間際のライブドア株の大暴落につながった。

東証はライブドア事件における反省を踏まえ、その後に発生した日興コーディアル事件やオリンパス事件においては、株主や社会に与えるインパクトを考慮し上場廃止をできる限り回避するよう努力してきた。

2013年6月には上場制度の見直しが行われた。東証は上場廃止をできる限り回避することができるように特設注意市場の積極的な活用のための上場制度の見直しを公表し、8月に施行した。それまでは、有価証券報告書に虚偽記載を行った場合、その影響が重大であると東証が認める場合には上場廃止とするとしていた。これを見直し、「直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であるとき」を上場廃止の要件とすることとした。上場廃止の該当基準を厳しくしたのである。


東証が着々と「改善」

東証は「直ちに上場廃止としなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかなとき」とはどういう場合かまで明言した。「例えば」として、上場前から債務超過であった場合や実態として売上高の大半が虚偽であった場合を挙げ、上場廃止とするケースを相当厳格に判断することを明言したのである。

他方、上場廃止としないケースにおいては、特設注意市場を活用することにし、それでも内部管理体制の改善が期待できなくなったと認められるときや、特設注意市場銘柄指定後1年間以内に内部管理体制の改善がされなかったときに初めて上場廃止することにした。今回の東芝はまさにこれに当てはまる。

東証はこのように、上場廃止をできる限り回避することができるよう着々と「改善」を実施してきた。今回の東芝不適切会計事件も、この路線に添ったものなのである。 (ZUU online 編集部)

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