車車間通信が自動運転実用化の鍵を握る

自動運転車の実現に向けて鍵を握るのが自動通信システム。車同士が次のアクションをお互いに教え合うことができれば、多くの事故を未然に防げるはずだ。例えば、高速道路を走行中に、目の前に障害物が現れたと想像してみてほしい。あなたが急ブレーキを踏むと、後続の車両すべてに「瞬時に」情報が伝わり、それぞれのドライバーが気づく前に自動ブレーキが作動するのだ。

自動車と交通インフラとの通信も可能になるだろう。前方に渋滞あり、と道路システムが警告してくれたり、交通量の多い交差点で車道に踏み出しそうな歩行者あり、とモニタリング・システムがあなたに(またはあなたの運転する車のコンピュータに)警告してくれたり、といったことが現実になる。

トヨタ・クラウンの2016年新型車は、日本市場向けレクサスGSと同種の装備を持ち、ITSコネクトシステムを初搭載している。(写真=TOYOTA)

これらの技術は高度道路交通システム(ITS)の総称で知られる。ITSによって交通事故による死傷者が激減するであろうことは明白だ。このシステムが全国に普及すれば、の話だが。道路を走る大部分の車にこのシステムが搭載されるにはまだ何年もかかるだろうが、今から車にITSを装備するメリットもいくつかある。

トヨタはITSコネクトと称するシステムを、今年中に日本国内で販売する3車種に搭載予定で、9月末に正式発売した日本市場仕様の新型クラウンがその第一号だ。2万7000円(225米ドル)というオプション価格は破格の安さと言えるだろう。


トヨタの最新システムは(近い)将来への投資

トヨタのITSコネクトシステムはそれほど威力を発することはないだろう……始めのうちは。政府が国内の主要道路にITS設備を敷いたとき、初めてその効果が発揮されるはずだ。現時点で日本国内にITS完備の道路は極めて少ないが、今後数年間で増えていくだろう。

ITS装備は世界のいたるところで進んでいる。米国政府はITS標準化を進めており、数社の自動車メーカーが同システム搭載車をまもなく販売予定だ。ゼネラル・モーターズはキャデラックの2017年モデルのうち少なくとも1車種に車車間通信機能を搭載すると発表した。その他、メルセデス・ベンツをはじめとする高級車ブランド(トヨタのレクサスもそのひとつ)も、同システム搭載車の販売をアメリカ市場で近く展開予定だ。


新技術がまもなく続々と市場に

トヨタはこの新しいITSシステムを同社の掲げる「モビリティ・チームメイト・コンセプト」の一環としている。近い将来、ドライバーは車に搭載されたシステムと協力し合いながら安全走行を実現していくことになるというコンセプトだ。

次なるステップは高速道路での自動運転機能の開発だろう。写真の車は新型のレクサスGSで、トヨタは「ハイウェイ・チームメイト」のコンセプトでテスト走行を始めている。

一般道から高速道路への出入、車線変更、車間距離の維持などはクリアしている。

「2020年をめどにハイウェイ・チームメイト・コンセプトに基づく新型車を発売予定」と公表しているトヨタ。その実現に至るまでにトヨタは、そして多くのライバル自動車メーカーも、まだいくつものステップを踏まなければならないだろう。

ジョン・ローズヴェア(提供: The Motley Fool

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