外部環境に不透明感が増す中で、日本企業の収益力の試金石となる今3月期第2四半期(7~9月)決算の発表が間もなく本格化する。
代表格のトヨタ自動車 <7203> (5日発表予定)への関心は特に強く、高い市場期待をクリアできるかが焦点となる。ほとんどのアナリストが、前年同期比で2割超の営業増益を予想している。
トヨタの7~9月の連結営業利益は前期が6592億円で、その前の期に対して11%拡大した。販売台数は同横ばいの223.5万台だった。今期は一段の円安が追い風となった上、北米市場の好調から営業利益をさらに上積みしたもよう。直近の市場予想の中央値は8100億円程度、増益率は20%台と高水準だ。
証券各社のトヨタ業績予想と目標株価
中でも、バークレイズ証券、クレディ・スイス証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の直近予想は8300億円(前年同期比26%増)とハードルが高い。為替は1ドル=120円強(前年同期は104円)で推移し、新興国通貨安の悪影響を補い増益要因になったとみられるほか、原価改善も進んだ可能性がある。営業利益率は前年同期の10.1%に対し、バークレイズ証が11.5%、三菱UFJモルガン証が12.4%を見込んでいる。
一方、販売台数は伸び悩んだ可能性がある。アジアや中近東市場で景況感の悪化が逆風となった。大和証券は前年同期比2万台程度の微増、クレディスイス証は同2万台の減少とそれぞれ予想している。トヨタ側は通期の見通しを前期比2.2万台減の895万台としている。
通期業績については、1ドル=117円を前提とする会社計画(営業利益2兆8000億円、前期比1.8%増)には上ブレの余地がありそうだ。市場では3兆1000億円台がコンセンサスになるとみられ、7~9月決算時に計画の上方修正が発表されるとみる向きもいる。ただ、世界経済の情勢を踏まえると、据え置きを選ぶ可能性も低くないだろう。
中期投資の好機迫る
株価は年初来安値6650円を下限とするボックス相場(上限7500円)の様相を強めている。市場全体との兼ね合いもあり、短期的にレンジを上抜けられるかは見極めにくい。
それでも、決算で収益基盤の強さが確認できれば中期投資に踏み切る材料としては十分だろう。来期にかけては次期プリウスをはじめとする新型車の効果がフルに発揮されるほか、より長い観点では、燃料電池車(FCV)の展開も期待される。(10月16日付株式新聞掲載記事)
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