世界の不動産投資家の間では大都市圏の価値が見直されている。人口減少などの地方都市でのリスクが指摘される一方で、ロンドンやパリといった大都市に対する投資意欲が高まっているという。ラサール不動産投資顧問の欧州地域成長指標(European Regional Growth Index)によると、欧州経済のドライバーとなっているのは、安定的なパフォーマンスを発揮するパリのような大都市なのだ。
仏不動産サイト『meilleurs agents』によると、パリの不動産価格はここ数十年間上昇傾向にあったが、いまは2011年時と比較すると9%ほど安くなっており、値段も落ち着いてきている。そこで、海外不動産の購入を支援するリード・リアルエステートに、なぜいまパリが注目されるのか、その理由について話を聞いた。
――パリが人気の理由はどこにあるのでしょうか?
「パリには他の都市にはない歴史と、人を惹きつける文化資産に恵まれており、非常に人気があります。さらに需要が高い割には、新築物件の数は少なく中古物件が圧倒的な数を占めています。それゆえ、建物が古くなっても資産価値が下がる心配が少ない。パリでは築100年を超える物件は決して珍しいことではありません。また、融資比率が33~40%と低く、返済比率35%を超えることはありません。また、金融市場の変動に不動産価格が左右されやすいボラティリティも高いニューヨークや香港、ロンドンに比べて、パリの物件は安定していることも人気の理由でしょう」
――パリならではの注意ポイントとは?
「パリでは景観を守るため、法律で古い建物を取り壊すことが禁じられており、リフォームを繰り返して使い続けることが一般的です。このリフォームに関する出費はすべて税金控除の対象となっています。ただし、古くても美しい物件に関しては資産価値も高いものもありますが、建築基準に見合っていない建物も多く、安全面には注意が必要でしょう。安全面で言うなら、無論『新築』が一番ですが、次いで『19世紀後半のオスマン様式』そして『切石積み』の物件でしょうか。1920〜30年代は、アールデコ様式の建物が多くありますが、むしろ、1970年代の物件の中には、建築基準に見合っていない建物も多くあるので、注意すべきでしょう」
――市場のトレンドは?
「ここ最近は買い手市場と言えるでしょう。150平米以下のコンパクトな物件へ買い換える所有者が増えており、200平米以上の売り物件が増えています。ワンルームから2~3LDKタイプのものに関しては、人気の地区(マレ地区や6区)の物件は、売りに出されてから2~3日後には売却されるといった状況が多く見られます」
――
投資するためには?
「パリ不動産に投資するのであれば、安心して信頼できるプロフェッショナルに依頼するのが一番でしょう。フランスでは、ノテール(仏語で公証人の意)と呼ばれる不動産売買契約の専門家が、物件の調査(物件の抵当権、市の都市計画の区分に入っていないかなど)をし、登記の手続きを代行します。他国では、弁護士がこうした手続きを行いますが、フランスでは国からの任命を受けた公証人が公正に手続きを行うため、世界で最もトレーサビリティ(追跡可能性)に優れていると評価されているのです」
(提供: リード・リアルエステート )