米国道路インフラの現状と問題点

◆道路インフラの状況-米国交通インフラの要

米国の交通インフラは、規模において世界最大のものが多いが、その中でも総延長が6.5百万キロメートルを超える道路が最も重要であり、世界の1割を超える道路が米国に集中している。

各インフラの利用状況として車両走行距離(距離×台数、Vehicle-Milestraveled、以下走行距離)をみると、道路は鉄道や空路など他の交通インフラを圧倒していることが分かる(図表1)。

米国道路インフラ 図1

国内貨物輸送の5割弱をトラックが担っているほか、通勤手段として9割弱が自家用車を利用している(図表2、図表3)。とくに、通勤手段としての自家用車の利用は、日本が4割強に留まっていることに比べると非常に高い。

米国道路インフラ 図2-3

一方、米国の道路を、都市・郊外に分け、さらに道路分類毎に総延長と走行距離の内訳をみると、総延長では郊外が全体の7割超と大きな割合となっているものの、走行距離の割合でみると、都市部と郊外は逆転しており、都市部が7割弱を占めていることが分かる(図表4)。

米国道路インフラ 図4

また、道路分類では複数の州を跨る州際道路は、全米幹線道路網(National Highway System、NHS)の中核を担っており、総延長は都市部と郊外を合わせて1.2%に過ぎないものの、走行距離は25%程度に上っており、交通量が集中している。

次に、道路の質として路面状況を確認する。米国では路面状況を評価する指標として国際凹凸指数(International Roughness Index、IRI)が用いられている。これは道路表面がどの程度平滑か測定するものである。

この指数によって路面状況が良好(*1)とされる路面の総延長に対する割合をみると、都市部や郊外の州際道路では7割から8割となっている一方、都市部でも、その他の道路では9%と極端に低く、都市部全体でも2割強に留まっている。さらに、郊外を合わせた全体では4割弱に留まっており、路面状況の悪さが問題視されている。このような交通量の集中や劣悪な路面状況による経済損失が顕著となってきている。