(写真=PIXTA)
投資家の視点に立って魅力のある企業を構成銘柄に選ぶ新しい株価指数「JPX日経400」。公表から2年弱にもかかわらず、市場の注目を集めている。
市場の注目を集めている新指数「JPX日経400」
2014年1月から公表が始まった新しい日本株式指数「JPX日経インデックス400」(以後、JPX日経400)。同年4月には120兆円の公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式のパッシブ運用のベンチマーク(運用指標)として採用、運用を開始。
日銀は同年10月の追加金融緩和でJPX日経400に連動したETFを買い入れ対象にすると発表。また、同年11月からはJPX日経400先物の取引も開始され、幅広い取引が可能になった。公表からわずか2年弱にもかかわらず、JPX日経400に連動するETF、投資信託が次々に設定されるなど、市場の注目を集めている。
従来の指数とは異なる思想で設計された新指数
「新しい指数の開発は、2012年頃から検討が始まりました。当時、日本の株式市場全体が大きく下げていたなか、個別に見ていくと過去最高益を出している企業も多くありました。こうした投資魅力の高い日本企業を国内外にアピールする必要があるという共通認識のもと、企業の資本効率性や収益性、投資者からの視点を意識した経営の重要性に着目し、ROE(自己資本利益率)をはじめとした企業の業績指標・データ等を用いて銘柄を選ぶ新指数・JPX日経インデックス400が誕生したのです」(東京証券取引所情報サービス部商品企画運用グループ課長冨田一成氏)
JPX日経400を他の主要指数と比較すると、①構成銘柄を東証1部だけではなく東証2部、マザーズ、JASDAQに上場する幅広い銘柄の中から選定していること②ROE等の業績指標等を考慮して選定していること③算出方法に「浮動株調整時価総額加重型(1・5%キャップ付き)」を採用していることという3つの特徴が挙げられる。
簡単に言えば、従来の指数よりも幅広い市場全体の中から、企業の資本効率を示すROEなどの業績指標等を基に選抜された「優良企業」群で構成されていると言えるだろう。
「選定基準にROEを採用したことは、この指数の特徴の一つですが、それ以外にもたとえば《1・5%キャップ付き》である点もパフォーマンスに影響を与えているという分析結果も出ています。JPX日経400の算出では、TOPIXと同じく時価総額をベースにしつつも、1つの銘柄が占める割合を上限1・5%に抑えることで特定の銘柄による影響が、結果的に抑えられています」(東証・情報サービス部冨田課長)
実際にパフォーマンスを比較すると、JPX日経400がTOPIXを概ね上回っていると言っていいだろう。特に市場全体が下げ局面である時に下げ幅が小さくなっている。