ROEなど多くの指標で選抜された「優良企業」

JPX日経400の銘柄選定は、東証1部だけでなく、2部及びマザーズ、JASDAQの新興市場も含めた東京証券取引所に上場している企業(約3460社)の中から、上場後3年未満(テクニカル上場を除く)、整理銘柄・特設注意銘柄に該当する企業、あるいは過去3期すべての期で営業赤字または最終赤字である企業、過去3期いずれかの期で債務超過の状態にある企業等を除いた後、直近3年間の売買代金と選定基準日における時価総額を勘案し、上位1000銘柄を組み入れ候補銘柄として選定。

その後、3年平均ROE、3年累積営業利益、選定基準日における時価総額の3項目の順位に応じてスコア(1位/1000点~1000位/1点)を付与。さらに3項目のウエイトを加味した総合スコア付けを行った後、独立した社外取締役の選任(2人以上)、IFRS(国際財務報告基準)の採用または採用を決定、決算情報英文資料のTDnetを通じた開示の3項目を勘案してスコアを加点する。

組み入れ銘柄は基準日となる毎年6月営業最終日のデータを基に見直され、組み入れ銘柄のうち評点が440位以内の銘柄が継続され、400銘柄に不足する場合は継続組み入れ以外の銘柄のうち評点の上位から順に400銘柄になるまで採用される。追加・除外リストは8月第5営業日大引け後に公表され、8月の最終営業日に前営業日の終値で入れ替えを行っている。

ちなみに、東証が公表している資料によると、3年平均ROEで比較すると、JPX日経400構成銘柄が11・7%、東証1部銘柄が7・6%、非構成銘柄で5・3%となっており、当然ながら、JPX日経400構成銘柄が飛び抜けて高くなっている。また、どの銘柄でも2014年度に比べて2015年度が高いことがわかるだろう。

「海外投資家からは、『日本企業は内部留保が多く、資金効率が悪い。もっと効率的な経営を目指すべきだ』と長年いわれてきました。JPX日経400の登場は、企業の経営改善を促進する要因の一つになってきていると思います。なお、日本の株式市場ではROEの高い企業が必ずしも株価が高いという相関関係にありませんでした。日本国内の投資家の間でもROEが重視されるようになり、それが株価にも反映されるようになる可能性もあるのではないかと考えています」(東証・情報サービス部冨田課長)

JPX日経400 3

投資家にとって安心できる優良400銘柄が常に維持されているともいえる「JPX日経400」。連動するETFに投資するだけではなく、個別銘柄に投資する際の参考にしてみてもいいだろう。

冨田 一成
㈱東京証券取引所 情報サービス部 商品企画運用グループ 課長

(記事提供:投資家ネット『 ジャパニーズインベスター 』)

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