日本,富士山
(写真=Thinkstock/Getty Images)


人口減少国家日本の課題

戦後の我が国は、諸外国が目を見張るほどのスピードで高齢化、少子化のフェーズを駆け抜けてきた。経済発展は多産多死から少産少死への「人口転換」をもたらす。我が国戦後経済の他に類を見ないような急発展が、この人口転換レースで日本を一気に首位に押し上げたことになる。

同じ「少産少死」でも、出生率が死亡率を下回る局面に入ると人口の自然減が始まる。今後先進諸国の多くで人口の自然減が普遍化してゆくが、我が国は、その中でもトップランナーの位置を占める。最も早く人口減少に転じ、減少のテンポも最大と見込まれるからだ。

人口減少が投げかける課題は、経済成長、年金問題、さらには地域コミュニティーの消長に至るまで多岐にわたるが、ここでは主として労働力不足に係る論点を整理しよう。労働力対策のメニューは数々提示されているものの、多くの場合、以下のような人口政策の基本が十分に理解され吟味されてはいないと思われるからだ。


将来の出産適齢女性人口の激減も

若者達がなかなか子供を産まないから人口が先細る、こう速断しがちだが、より基本的な原因は我が国の長寿化そのものだ。日本人の平均寿命は1980年代半ば以降世界一を続けている。

だがその日本人も残念ながら、永遠の命を手にしているわけではない。長寿化が進めば進むほど「死亡適齢期」人口が増え、その分死亡者数増加テンポが上がるという皮肉な結果につながる。2003年に100万人を超えた日本の年間死亡者数は現在約130万人。「団塊の世代」(戦後ベビーブーマー)が90歳前後に到達する2036-40年には160万人/年という死亡数のピークが訪れる。

出生のサイドにも同様な誤解が存在する。合計特殊出生率(TFR)は、すでに1970年代から、2.07人(世代交替を超えて人口を維持するのに必要な水準)を割りこんでいる。これが現在までの少子化をもたらしたことは事実だが、将来に関する限り出生数が減る原因として重要なのは、出産適齢女性人口の激減だ。人口研の中位推計によると、25~39歳の女性人口は、2010~2060年の50年間で55%も減るという。