スウェーデンの事例

一例としてスウェーデンを見てみましょう。
スウェーデンの消費税率は先ほども述べました通り25%です。現段階の日本の消費税率の3倍超となっています。しかし、この25%が一律に掛けられているわけではありません。公共交通や出版物の消費税率は6%、食料品は12%と軽減税率が設けられている分野があるのです。しかも、スウェーデンは医療費が19歳未満は無料です。また、自己負担上限額が設定されており、例えば入院した場合には1日あたり80クローネ(日本円で約1,280円/1クローネ16円で換算)、薬などの薬剤費は年間で1,800クローネ(日本円で約28,800円/1クローネ16円で換算)となっています。さらに教育費も大学までは無料となっており、給食費もかかりません。

消費税だけで考えるべきではない

消費税率だけで比較してしまうと、まだまだ日本は税率を上げられる余地があるとも見えてしまいますが、単に税率を上げるだけでは国民の多くが納得しないのではないでしょうか。スウェーデンの事例でみたように、高い税金を支払っていることが自分にどのように返ってきているのかという実感があってこそ、気持ちよく税を支払うことができるはずです。また、消費税率が高い国々では、生活必需品と贅沢品で税率に差を設けており、消費税率の高さが大きな負担にならないように配慮されています。アメリカでは消費税に代わる売上税などを低くして消費を喚起する日があったり、州によっては税率が0%のところもあったりします。

日本の消費税が10%で打ち止めになるとは考えにくいです。今の日本の財政を見ると15%や20%になる可能性も残されています。その時に、日本国民の生活がどのように変わるのか、何のために税金を支払っているのかということをしっかり明示できなければ、国民の不満は増すばかりとなることは容易に想像できます。

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