中途採用50人は人材純血主義になじむか?

百貨店業界の人材純血主義の中で、高島屋の「年間中途採用目標50人」が受け入れられ、育つかどうかは試金石である。中途採用された社員は、基本的に前職の異文化を持って入社してくるが、同質・同文化社員の大海の中で、わずか50人がなじめるのかどうか。危うさはないのだろうか。

百貨店の社員教育では、顧客対応についてのマナーやしつけ、また金銭管理や接待のコンプライアンス義務の徹底は定評があるが、専門性があったとしてもここが欠落している社員はまず生き残れない。

実は百貨店にはもう1つ、人材の異文化圏がある。それは商品の仕入れ先から派遣される販売スタッフである。

客からはおそらく見分けがつかないが、同じ売場の店頭勤務になるわずかな専門販売スタッフを、いかにして育て、定着させるか。また周囲の従業員が果たして受け入れるのか。この点も注視されてしかるべきポイントだろう。


販売員の育成をあきらめる「テナント方式」の百貨店も

百貨店が中途採用に前向きになったのは、ここ数年のことだ。業種柄、商品ごとの専門性や他社と区別して企画できる“異質人材”は大切であり、高島屋の取組は評価できる。だが中途採用した正社員を純血主義の風土の中で定着させられるのか、中途採用の歴史が浅いだけにまだまだ不完全、未知数だ。

百貨店の中には、すでに自前の販売員を育てることはあきらめ、管理的業務のみに縮小特化し、専門性の高い商品ジャンルは店内に販売員ごとショップを導入するという「テナント方式」に切り替えている百貨店もある。このことがまさに百貨店の苦悩を物語っている。

自前の販売員による商売を続けるために人材採用と定着に苦慮する百貨店が生き残るのか。はたまた委託管理のテナント型の商売へ一気に舵を切るのか。百貨店の悩みは続く。 (ZUU online 編集部)

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