4月以降すっかり株価の様子が変わった東証
4月1日、粛々と消費増税がスタートした国内市場では、増税に対する消費者の反応は極めて冷静で、多くの人々がこの状況を淡々と受け止めているように見えます。日銀の短観では自動車業界を中心として消費の先行きがかなり鈍化するという具体的な見通しも示されるようになってはいるものの、政府も日銀もその影響は一時的で軽微との判断を継続しています。
そんな中で注目された日経平均株価は、4月新年度入り直前から一転上昇に転じ、いよいよ新年度で新たに機関投資家も市場参入して上昇局面入りかと思われたことから、市場には一瞬ブルムードが漂いましたが、それが維持されたのも僅か一週間たらずで、4月8日の日銀黒田総裁の史上初のリアルタイム会見の内容をうけてロンドンタイムからニューヨークタイムにかけて先物主導で大きく売り込まれることとなり、その後も薄商いが続き、新年度から閑散相場が継続することとなりました。
外人主導の株式市場は消費税の影響より日銀の政策に注目
ご存知の通り国内株式市場の7割近くは外人投資家の買いで構成されているのが現状ですから、日経平均の上昇も下降も外人投資家が鍵を握っていることは言うまでもない状況ですが、昨年15兆円強の外人勢の日本株買いのほぼ半分を占めたヘッジファンドは、年明けから日経平均を先物、現物株ともに売りはじめており、昨年とは市場の状況が大きく変化していることを伺わせています。
3月、4月の2回の日銀政策決定会合前には日銀の追加緩和期待を背景にして株価が買い上がり、見送りを受けては投げが入るといった日銀トレードと呼ばれる取引手法も既に定番化しつつあり、外人勢は消費増税による経済市況とそれにともなう企業の業績そのものよりも、消費増税に連動し日銀が先行して金融緩和に踏み切らないことに苛立ちを見せており、催促相場、あるいは失望相場へと状況を一変させています。
QEが株価を上昇されるという極めて不思議な相場
本来QE・量的金融緩和は経済政策として機能すべきもののはずですが、過去5年間におよぶ米国の3回のQEはもっとも株式市場の株価を維持、上昇することに寄与する結果となっており、国内の東証株価も同様にQEが株価を支える最大のファクターになりつつあります。QEの実施が株価頼みという状況も実に不思議なものですが、結局市場の余剰資金が証券市場にもっとも多く投入されるという図式がすっかり出来上がってしまったことから、日経平均株価も完全に日銀の政策次第の様相を呈してきつつあると言えます。 ノルウェーやカナダの年金などは4月に入ってから既に日本株を買い始めていますが、大半の外人投資家筋は様子見を決め込んでおり、特に海外のヘッジファンド勢は現物株の持ち高を大幅に調整し、新たな購入はもっぱら先物中心としていることから、結果として東証の株式の売買数を細らせる原因となっているのです。