日銀から金融緩和がでないほうが株価にとっては増税より先行き深刻な事態に

4月末からは国内では主要企業の決算発表が始まり、投資家の関心は15年3月期の業績見通しへとシフトしはじめていますが、円安効果の一服感もあり、今期はこれまでのコンセンサスであった1割増益の達成も厳しいのではとの見方が広がり始めています。こうしたことが背景になっているのか今期最高益の達成が見込まれる日立やホンダ、マツダといった優良銘柄株の買いさえもいまひとつ鈍い状況が継続しており、国内株式相場は業績で回復するものではなくなりつつあるというのが4月以降の大きな流れになってきているのです。したがって、今後株価回復のもっとも大きなドライバーとして期待されるのが、日銀によるさらなる量的金融緩和という話にならざるを得なくなってきています。

増税による景気鈍化を受けて日銀がどのような手立てを打ってくるのかが現在では海外投資家の最大の関心事となっており、直接的な消費税による経済の落ち込みよりも日銀の政策動向に株価がより大きく反応する市場状況が形成されてしまっているのです。


7月までになんらかの金融緩和措置が講じられることが最大の株価上昇要因に

内閣や政府の関係筋はGPIFの本格的なリスク資産運用を仄めかしたり、GPIFの運用委員の入れ替えをおこなったりと、株価の下げ止まりにあらゆる手段を尽くし口先介入に及んでいますが、今のところ決定的に株式相場の流れを変える状況にまではなっていないのが実情で、外人投資家筋が日本株購入にさらなる妙味を感じなおすことができるかどうかが株価回復の最大のポイントとなってきています。

先日安倍総理大臣と黒田日銀総裁のアベクロランチなるものが開催され、一瞬株価にも為替にも動きがでたのは記憶に新しいところですが、この時期に先行してなんらかの金融対策が講じられることになれば、ポジティブサプライズとして日経平均は大きく回復することが見込まれるだけに、現政権の日銀への働きかけが注目されるところとなっています。安倍政権にとっては株価の上昇が政権支持率にも密接に関係しているだけに、このまま夏まで何もしないはずはないという見方も広がっており、今後数ヶ月の政権の動きと日銀政策決定会合から目が話せない状況です。


金融相場から業績相場へのシフトが強く望まれる国内株式市場

東証日経平均の1株利益は、ほぼ1000円で、PER15倍台であれば、1万5000円の日経平均株価は十分にフェアバリューとなる価格であるにも係わらず、株価は伸び悩む状況となっています。より個別株の業績にシフトしていく健全な相場となれば、市場全体をさらに引き上げているドライバーとなることも期待できるはずですが、日経平均株価指数自体が特定の投機筋にいいように相場の上げ下げに利用されてしまっていることは非常に残念な状況です。

とはいえ、日経平均がしっかりと1万5000円以上に回復するためには、とにかく外人投資家が昨年のように株式市場に戻ってくることが必須であることだけは間違いない状況です。こうした市場の状況に対応して日銀がどのような判断を下していくのかが、今後の国内株式相場の最大の注目点となってきているのです。

TI ビジネスプロセスコンサルタント

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