(写真=PIXTA)
本稿は、中国経済をこれから学ぼうとお考えの方々を対象に、新聞記事やレポートでは通常前提として省略されることが多い基礎的な経済データを、図表を用いて素人にも分かり易く解説し、理解を深めていただくことを趣旨としている。
今回はその第三回目として、中国の「産業構造」を取り上げ、国際比較などの図表を用いて解説している。中国経済に関する新聞記事やレポートを読む上で、その一助となれば幸いである。
第2次産業から第3次産業へのシフト
中国の今年1-9月期の成長率は、実質で前年同期比6.9%増と昨年の同7.3%増を0.4ポイント下回った。
内訳を見ると、第2次産業は昨年通期の前年比7.3%増から同6.0%増へ1.3ポイント低下した一方、第3次産業は逆に同7.8%増から同8.4%増へ0.6ポイント上昇した。第2次産業が今年も含めて5年連続で減速したのに対し、第3次産業は4年連続で8%前後を維持している(図表-1)。
一方、国内総生産に占めるシェアを見ると、2014年時点では第1次産業が9.2%、第2次産業が42.7%、第3次産業が48.1%となっている。
5年前と比較すると、第2次産業のシェアは2.9ポイント低下しており、特に工業は3.4ポイントも低下した。一方、第3次産業のシェアは3.7ポイント上昇しており、特に卸小売業と金融業は1ポイントを超える大幅増加となっている(図表-2)。
なお、第1次産業では4%前後の成長率が続いており、国内総生産に占めるシェアもじりじりと低下して2014年は9.2%となった。