驚いた表情の親子

(写真=PIXTA)

相続税法の改正により相続税対策の関心が高まる中、生前贈与を活用して節税に取り組む人も多い。しかし、生前贈与といってもいろいろな種類があり、どの制度を活用するかによって節税効果も異なる。そこで今回は生前贈与の6つの特例について整理してみた。

①定期贈与に注意!〜暦年贈与(基礎控除)

暦年贈与とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の間(暦年)に贈与を受ける金額が基礎控除額(110万円)以下までであれば、贈与税が掛からないというものである 。贈与税の趣旨は相続税の課税回避のために、生前に資産を移転させないように高い税率を課し、それを抑止することにある。しかし、人から贈り物をもらったり、食事をごちそうしてもらった場合にすべて贈与税を課すというのは、あまりに非現実的であり、かつ手間がかかりすぎる。そこで、110万円までは課税しないとしたのである。利用できる条件というものは特になく、110万円以内であれば誰でも対象になる。

注意すべきポイントは、「あらかじめ、まとまった資金を贈与するつもりだった(定期贈与)」と認定されると、まとまった資金に対して贈与税が課せられる可能性がある。定期贈与を具体的に説明すると、「1500万円を贈与したいが、贈与税がかかるので、100万円を15回に分けて毎年贈与する」というような場合である。形式的には年間110万円の範囲内で非課税となるはずであるが、はじめから1500万円を贈与する目的がある場合には、1500万円に対して贈与税が課せられてしまうのである。

参考:国税庁(No.4402 贈与税がかかる場合)

また相続開始前3年以内の贈与は相続財産に組み入れられるので、その点は注意が必要である。

②有効なのは50歳まで〜結婚・子育て資金一括贈与

若年層の結婚・出産・育児を後押しする目的で、祖父母や両親の資産を早期に子や孫(20歳以上50歳未満の者)に移転することができるよう、これらに要する資金の一括贈与について受贈者1人につき1000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度)までの金額について、2015年4月1日から2019年3月31日までの間に拠出されるものに限り、贈与税が非課税となる 。

利用するためには、贈与者が非課税申告書を金融機関を経由し受贈者の納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。また、資金を引き出すためには結婚・子育て資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出し認められる必要がある。

注意点としては、「受贈者が50歳に達した場合」や「信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき」に残額があると、その額に対し贈与税が課されるということである 。

③ポイントは「様子をみながら」〜教育資金一括贈与

教育資金の非課税制度とは、2013年4月1日から2019年12月31日までの間、祖父母等が孫等(30歳未満)の教育資金に充てるために、信託銀行等にお金を預けた場合に、1500万円までの金額について贈与税を課さないというものである 。この制度を利用するためには、信託銀行、銀行、証券会社で口座を開設する必要がある。その口座は受贈者1人につき1金融機関となるので、複数の贈与者がいる場合、全体で1500万円の範囲内でなければならない。

対象となる教育費の範囲は、基本的に学校等に直接支払った入学金や授業料であるが、学校で使う物など付随費用も含まれる。また、500万円までは塾やスポーツ教室などの習い事も対象になっている 。

教育資金の非課税制度は、一括して多額の財産を贈与でき、また、相続開始前3年以内にこの贈与を行っても相続財産には含まれないので相続税の節税にもつながる。しかし、受贈者が30歳に達した日に金融機関に残額があるとその残額に対しては贈与税が課されるので注意が必要だ。期間内なら追加入金は可能なので、初めから多額の贈与をするのではなく、様子をみながら追加する方がよい。