家計簿
(写真=PIXTA)

私はあと1年で定年を迎える59歳です。先日、妻(60歳・専業主婦)に最近の家計簿を見せてほしいと頼んだところ「つけてないわ」と返されました。妻は32年前に結婚してからずっと給料から天引きで毎月定額貯金(3万円)をし、ある程度まとまると定期預金に回して、2人の子どもの教育費や自宅のメンテナンスなどに充てていたようです。

そういうやりくり方法もあるかとは思いますが、光熱費や住宅ローン(6年前に完済)など、銀行で引き落とされる以外の支出の明細が不明なのは何となく釈然としません。ボーナスの使途は毎回一緒に決め、いくらを貯金に回したかもわかるのですが、毎月の給料の過不足もわかりません。妻に聞いても「余るときも足りないときもあったけど、別に問題なかったわ」と楽観的な返事をするばかり。

妻は特に贅沢をしているとは思いません。しかしこんな状態で私たちは老後を乗り切れるでしょうか。退職金は2000万円ほどの予定です。貯蓄は約1200万円。今後、資金の運用などもしてみたいです。


セカンドライフのシミュレーションを

最近は家計簿をつけないご家庭も多いようですね。

家計の管理方法はいろいろとありますが、家計簿をつけなくても結婚後32年間、必ず毎月3万円を貯蓄ができているというのは素晴らしいと思います。単純に計算すると、貯蓄の合計は1152万円。現在1200万円という貯蓄の残高を見ても最終的に貯蓄は切り崩さずにすんでいる、むしろプラスとなっていますので、奥様のやりくりは「ばっちり」とみてもよさそうです。

ただ、今後ご退職をされた後の生活は、今までと違ってかなりの収入減になることは明らかですので、この際奥様と一緒にセカンドライフのシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか?

総務省の家計調査年報によると、高齢夫婦無職世帯の場合、毎月の消費支出の平均額は約24万円です。サラリーマン世帯の65歳からの年金受給の平均も約23万円になりますので、毎月の支出の目標値は24万円を目安にするとわかりやすいと思います。

現在のご主人の収入から24万円を引いたときの差がどのくらいあるかによって、いくら支出を減らせばいいのかがわかってきます。32年間堅実にやりくりしてきた奥様ですので、毎月○万円の節約!と金額がはっきりすれば、削るべき項目も見えてくるはずです。また、今後資産運用も検討しているということですが、その際は、いつまでにいくらを運用するのか?がポイントとなります。

仮に毎月24万円で生活した場合、5年間の支出は1440万円になります。生活費以外にも急な支出に備えて半年分ほどの資金は手元に置いておきたいので、退職金・貯蓄のうち約1600万円は生活に必要で、残りの1600万円が運用に回せるお金ということになります。

この1600万円をただやみくもに運用するのではなく、目標値を決めて商品を選定していくのですが、リタイア後に必要な金額は家庭によって様々です。また、投資商品の満期は5年から10年のものも多いので、毎月の生活費のシミュレーションとライフイベントを踏まえて、リタイア後10年間のライフプランニングを立ててみましょう。

家計簿をつけていないざっくりとした奥様なので、金額も○万円と大まかにし「めんどうだ」と感じさせない努力が必要です。「うちの家計に関しては、プロの君にはかなわないから…」とうまく協力体制に持ち込んでみると、奥様のやる気に火がつくかもしれませんね。(ファイナンシャルプランナー:永尾三奈)(提供: ライブリー 退職金と未来のお金 )

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