2020年の東京五輪開催、27年に東京・品川と名古屋間の開業を目指すJR東海 <9022> のリニア中央新幹線などを控え、インフラ関連銘柄への関心が再び高まりそうだ。

15年前半の民間設備投資は一部で活発化したものの、公共投資に関しては「高水準ながら緩やかな減少傾向に転じている」(日銀の11月金融経済月報)とされるなど、鈍い動きが続いていた。一方、今後のインフラ整備拡充に向けたスケジュールは待ったなしの状況。来年以降は公共、民間ともにインフラ整備が加速することが期待され、建機レンタルなど関連銘柄が注目を集めそうだ。

西尾レント、トプコンに関心

東京五輪開催、リニア中央新幹線などに加え、災害対策として「国土強靱(きょうじん)化アクションプラン2015」が取りまとめられるなど、今期は国内のインフラ整備に向けた動きは加速。建築・土木関連銘柄では、大成建設 <1801> 、清水建設 <1803> など大手ゼネコン4社の今3月期第2四半期累計(4〜9月)決算は、既にそろって大幅増益を達成した。

一方、建機レンタル大手の西尾レントオール <9699> の前9月期の連結営業利益は129億5400万円(前々期比7.7%減)と減益だった。都市圏での駅前再開発工事やショッピングセンターなどの新設・補修工事向けなどで売上を伸ばしたものの、利益面では賃貸用不動産資産導入に伴う償却負担増が利益を押し下げた。今期は、公共投資関連向けではまだ厳しいとの慎重な見方だが、民間向けでは西日本や東海などで前期に続く伸びを期待する。

ただ、同じく建機レンタルのサコス <9641> は、公共向けで東京を中心にインフラ投資の動きの兆しが出ているとの見方を示す。また、ホイストやチェーンブロックを手掛けるキトー <6409> も建設土木の今3月期第3四半期(10〜12月)以降の工事需要増を見込むが、「足元で建機レンタル向けの需要が出始めている」(鬼頭芳雄社長)。

今後は、インフラの老朽化や震災などのリスク対応に加え、東京五輪に向けたスケジュールのひっ迫感もあり、公共向けを中心に建設工事の盛り上がりを期待する声は強まっている。

西尾レントの株価はこれまで弱含みの展開を続けていたものの、足元では上値抵抗線として意識されてきた26週移動平均線(24日、2963円)を大きく上回り、5月以来の3500円台に一時乗せた。今期の連結営業利益予想は133億7400万円(前期比3.2%増)と増益を予想する。カナモト <9678> の株価も同じく下値を切り上げる動き。

一方、建機などの自動制御などで公共事業関連向けの拡大に期待を示すのがトプコン <7732> 。

国土交通省が道路建設などの公共事業で受注企業に小型無人機やショベルカーの自動制御などの最先端技術を義務付ける検討に入ったと一部で報じられ、建機の自動制御に強みを持つ同社への関心も高まっている。IT農業関連向けや、3D計測製品など材料も豊富だ。(11月25日株式新聞掲載記事)

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