人生の3大支出の一つともいえる「住宅購入」。そんな住宅を購入する際には、ほとんどの人が「住宅ローン」を利用することだろう。特にこれから住宅購入を検討されている人のなかには、住宅ローンの仕組みや注意点などが気になるところである。そこで今回は、住宅ローン審査で留意すべき点を解説したい。

住宅ローンは本審査の前に仮審査がある

始めに住宅ローンの申込みの流れを把握しておきたい。まずは物件の情報収集を進めると同時に返済シミュレーションを描きながら複数の候補を決め、ある程度候補を絞ったところで、仮審査(事前審査)に申し込む。

仮審査とは本審査に通りそうか事前に判断するためのものだ。仮審査を受けてから、通常2~3営業日くらいで結果が明らかにされる。ここでOKとなれば、物件の売買契約を結び、本審査に申込みをする。本審査に申し込む際には、前年の収入を証明する源泉徴収票、住民票、物件の売買契約書などを提出する。

本審査の結果が明らかになるまでの時間は金融機関にもよるが、おおむね2週間程度を要するところが多いようだ。ここで本審査を通過し、住宅ローンの契約を結んで、初めて融資実行となる。

上記の通り、住宅ローンは物件の購入と並行して手続きを進めるのが基本である。ただし、仮審査を通ったとしても、本審査を通過しないケースもある。そこで物件の売買契約の際に「ローン特約」をつけておくのが一般的である。

「ローン特約」は予定した住宅ローンの本審査が通らない場合、物件の売買契約をキャンセルできるものだ。

ちなみに、住宅ローンの審査基準は公表されておらず、金融機関によっても審査基準が異なる。そのため、ある金融機関で審査が通らなくても、別の金融機関では融資が通るケースもある。

住宅ローンでやっていけない5つのこと

住宅ローンの審査は勤務先、勤務年数、年収、借入状況など様々な条件を確認した上で承認される。注意しなければならないのは、仮審査を通過したあとに自己条件に変更が生じると、本審査で否認されてしまう可能性があることだ。

具体的に仮審査を承認されたあとに「やってはいけない5つのこと」とは以下の通りである。

①自動車ローンなど新たな借入れをする。

②クレジットカードの支払いが遅れる。

③買い物のリボ払いをする。

④借入れの返済が遅れる。

⑤退職や転職をする。

住宅ローン審査を受けるには、金融機関から事前に提示される「個人信用情報の取扱いに関する規定」を確認たうえで同意(紙の場合は、自署・捺印)することが必要条件となる。金融機関はこの同意に基づいて「信用情報機関」を通じ、個人信用情報を取得し審査している。信用情報を取得するとクレジットカードや消費者金融などの利用状況、返済状況について一目瞭然となる。

金融機関は、基本的に仮審査と本審査の各段階で個人信用情報を照会するところが多い。そのため仮審査の承認後に①〜⑤があれば本審査で否認されることにもなりかねない。住宅ローンの審査を受ける際には自己条件を変更しないように注意するように心がけたい。

住宅ローン審査が通らなかったらどうする?

住宅ローンの審査が通らなかった場合、その理由は教えてくれないことが多い。そのため、理由が分からないまま他の金融機関に申し込んでも同じ様に通らない可能性がある。では、そのようなときはどうすれば良いのか?

まずは信用情報機関から個人信用情報を取り寄せることで、理由が推定できる可能性もある。金融機関が利用する代表的な3社は「株式会社日本信用情報機構(JICC)」「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」「全国銀行個人信用情報センター」である。個人の借入状況、延滞状況などが確認できる。

個人信用情報は窓口もしくは郵送で金融機関でなくても本人から開示請求ができる。そこで得た情報のなかに審査を通らなかった理由が類推できるかもしれない。たとえばクレジットカードの分割などを一括返済したあとに、別の金融機関にて住宅ローンの申込みをしてみたら審査に通ったケースもある。

ともあれ、これから住宅ローンを検討している人は、審査を確実に通したいところだ。借入金、支払の延滞に気をつけ、退職や転職のタイミングなども考慮することが大切である。(ZUU online 編集部)