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(写真=PIXTA)

アクセンチュアが発表した調査レポート「顧客中心主義のデジタル変革」は、顧客体験価値の向上がデジタル変革の実現には最も重要であると指摘している。国際的なデジタル化が進む中、経済業界は消費者の立場に立ったサービスの提供を目指して、新しいテクノロジーの導入に力を入れている。

アクセンチュアは企業のデジタル改革の実態を調査する目的で、今年5月に「フォレスター・コンサルティング」を開設。組織のデジタル化にあたり、「困惑を感じている企業」や「必要なスキルや知識を持ち合わせていない企業」も存在するのではないか――という仮説を、企業の意思決定者(decision makers)396人の協力をもとに検証した。

調査の結果、「企業はより効率的なデジタル改革を追求することで、組織、プロセス、テクノロジーの改革を図ろうとしているが、いまだ実力がともなっていない」という現状が浮き彫りになった。

同レポートでは3つの重要結果が示されている。

カスタマーサービスがデジタル改革の要となる
消費者との接点やチャンネルを通して、ポジティブで関連性のあるカスタマーサービスを提供する必要がある。したがってデジタル化および顧客とのやり取りの改善が、最も重要な2つの課題となる。

企業はデジタル改革を図っているが、いまだ課題が山積みである
組織、オペレーショナル・プロセス、テクノロジーという3つの側面で、企業は相当の力を注いではいるものの、従来の業務の枠を超えるのに苦戦を強いられている。多くの企業は「どのようにデジタル化に取り組めば良いか」という点で躓いており、ごく平均的なデジタルサービスを提供することすらままならない。

第三者プロバイダーによるソリューションがデジタル改革に貢献
マーケティングに費やす時間を削減し、ケーパビリティのギャップを埋めるなどといった目的で、多くの企業が第三者の力を借りてデジタル化に挑んでいる。中には第三者と良好な提携関係を結んでいる企業もあるが、大半の企業はそうした依存的関係に満足していない。

ではカスタマーサービスがデジタル改革の要となることについて詳しく見てみよう。


カスタマーサービスがデジタル改革の要

情報があふれ返る現代社会では、消費者のニーズも高まっている。消費者の「好きな時に好きな場所から好きなやり方で、必要とする情報にアクセスしたい」という要望に応えることは、新たな顧客を獲得すると同時に、既存の顧客を維持するうえで必要不可欠となる。

組織全体のデジタル化は「消費者が実際に何を望んでいるか」という点を正確に把握し、消費者とのやり取りを改善するうえで大いに役立つはずだ。

「収益性」「消費者の満足度」「市場のスピード化」
デジタル改革戦略で最も重要になるのは、「いくら収益をあげたか」ではなく「どのように収益をあげたか」という点である。58%の企業はデジタル化が「収益アップ」につながることを期待しており、51%が「販売スピードのアップ」、48%は「消費者の満足度アップ」を狙っている。

「消費者とのやり取りの改善」と「収益アップ」が最重要戦略項目
「消費者とのやり取りの改善」を今後数年間の幅広い戦略だと見なす企業が最も多い。次いで「収益アップ」「自社ブランドの特性を強調する」「コスト削減」が重要項目となっている。

またデジタル・ビジネス部門のシニア・エグゼクティブに求める知識やスキルに関しても、「消費者とのやり取りの改善と戦略的思考」が最重要事項とされている。一方テクノロジー自体はそれほど重要視されておらず、企業のデジタル化はあくまで「消費者を惹きつける手段」という見方が強い背景が伺われる。

オンラインおよびチャンネルを通した消費者とのやり取りが今後の重要課題
カスタマーサービスがデジタル改革の要となるだけではなく、デジタル改革がカスタマーサービスの要ともなる。消費者が複数のチャンネルを利用してビジネスと接点をもつケースが多いため、デジタル・チャンネルが急成長を遂げている。

そうした変化から、オンラインにおける改善および向上点の最重要項目として、「消費者との係わり合い(63%)」、「クロスチャンネル(58%)」、「コールセンター(50%)」、「モバイル(46%)」という回答が出ている。(ZUU online 編集部)

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