book

(写真=Thinkstock/Getty Images)

企業が持つ独自の商品やサービス、または理念や技術、ノウハウなどを世間に広め、発信する手段の1つに「ブランディング出版」がある。出版社から「ブランディング出版で本を出しませんか?」と、声をかけられた経験のある経営者や広報担当者もいるのではないだろうか。この「ブランディング出版」が本当に企業の利益につながるのか、考えてみよう。

単なる自費出版との最大の違いは取次を通して書店に並べられること

ブランディング出版とは、企業や経営者が自社や業界についての書籍を出版し、それにより企業の持つブランド価値を多くの人々に知ってもらうための活動である。自分で費用を出して個人の手記などを書籍化する自費出版に似ているが、目的が大きく異なるのが特徴だ。

自費出版の場合は、自身の原稿や作品を形として残すことや「本を出すこと」そのものが目的となりがちだが、ブランディング出版はあくまで、出版を通し「企業の価値を高め多くの人・顧客に周知すること」を目的としている。

そのため、ただ内容を書籍にまとめて出版するのではなく、どういった内容がその企業のブランディングに最適かといった企画面でのマネジメントや、ニーズに合った販売流通、パブリシティ活動まで含めてプランニングされることが多い。

大手出版社などがおこなうブランディング出版の場合、全国の書店や通販サイトでの流通経路を確保する、雑誌やインターネットサイト、書評などで取り上げられるよう各媒体への宣伝活動をおこなう、といったサポートまでが含まれている。

特にこの書店に流通されるという点は大きい。日本の書店は基本的に取次を通して書籍や雑誌を納入するため、取次に通せないと書店には並べられないということになる。逆に自費出版ではなくブランディング出版であれば、この流通ルートに乗せられる。

たとえば地方にいる顧客や知り合いに本を読んでもらいたいと思ったとき、最寄りの書店で注文してもられば、届けられるということなのだ。

知名度が上がることが最大の利点

具体的にブランディング出版にはどういった利点があるのだろうか。最大の利点は会社の認知度拡大だ。経営理念やサクセスストーリー、または独自の斬新なアイデア・商品・サービスなどについての書籍は、その企業が背景として持っているドラマを消費者に伝える力を持っているからである。

例えば、経営理念やサクセスストーリーに関する書籍なら、創業者の人となりや社風を伝え、会社のイメージアップや、今後の優秀な人材確保につながる。独自の商品についての書籍なら、直接的にその商品の販促にもなり、商品の背景を物語として伝えることで、競合他社との差別化も図れるのだ。

ブランディング出版が成功した場合にもたらされる認知度拡大は、言わば「その企業のファンが増える」という現象である。書籍という形を通し、消費者はもちろん、その企業の属する業界、さらには投資家へアピールが可能となるのだ。また、書籍という形を得ることで、長期間にわたる宣伝として機能する点もポイントとして挙げられるだろう。