ブランディング出版の実際の流れは?
続いてブランディング出版の流れを見てみよう。基本的には通常の書籍の出版と大きく変わらないのだが、まずは版社と相談して企画の立案をおこなう。前述した通り「本を出すこと」が目的ではなく、「企業の認知度を上げ利益をもたらすこと」が目的であるため、一般的な自費出版よりも、細やかな企画会議が必要とされる。
企業のPRポイントやどんな構成がよいか、目を引くキャッチコピーやタイトル、デザインなども含め、内容を考えていきながら、書籍の体裁や価格、ターゲット、プロモーション活動などについても話し合う。
企画が決まったら、実際の原稿作成となる。経営者本人が原稿を書く場合もあるが、プロのライターが取材をおこない、原稿を作成することが多いのが実状である。同時に写真やイラストなどの素材も揃える。
原稿が形になると、校正作業に入る。事実誤認はないか、企画意図とずれがないかなどをチェックする。ここでの最終確認をクリアすれば、印刷・製本へと進行していく。
その後、全国の書店への配本や、媒体への宣伝活動に入る。また実際に経営者や著者が講演会などをおこなう場合もある。
だいたい200万円以上はかかるもの
出版費用は、書籍の体裁、ページ数、出版部数、企画や編集・ライターなどのプロジェクト費用、流通網の範囲、新聞広告などの有無、などの組み合わせによって変わってくる。
書籍の体裁は、ビジネス書で一般的なのは主に四六判ソフトカバー(188mm×127mm)もしくは新書サイズ(182mm×103mm)だ。出版部数は3000部から多くても1万部でのスタートが多い。
出版社やサービス内容によっても大きく変わるので、一概に費用を出すことは難しい。通常の自費出版で、四六判ソフトカバーの書籍を1000部作る場合でも、相場は200万円ほどと言われている。
それを1つの基準とすると、ブランディング出版の場合は、最低でも数百万円からで、大手になれば1000万円程度の見積もりになると考えられる。多くの出版社が無料での見積もりや相談を受け付けているので、まずはそういったところで内容に応じた費用を調べてみるのがよいだろう。
「どんな本なら自社に利益をもたらすか」という現実を考えることがカギ
最後に実際の成功例を紹介しよう。幻冬舎メディアコンサルティングから出版された、『相続貧乏にならないために 子がしっておくべき50のこと』(著・税理士法人大久保会計 大久保栄吾氏)、『がんにならない人の50の習慣』(著・医療法人ハートアンドオンリー 平島徹朗氏)などは、実際の顧客増加や講演会依頼増加などにもつながったと言われている。
もちろん、すべてのブランディング出版が成功するわけではないが、ポイントとなるのは、いかに「宣伝活動」として企画意図やマーケットに沿った書籍を作れるか、という点だろう。もちろん、書籍の「ネタ」となるだけの実績や、商品、企業や経営者の背景があるかどうかも重要である。
出版というと「こんな本を出したい」という理想が先だってしまうが、出版社の企画チームともよく相談し、いかに「どんな本なら自社に利益をもたらすか」という現実を考えることが大切である。企業側はもちろん、出版社の企画チーム側もそのことを理解し、協力して書籍を作り上げられるかが成功のカギではないだろうか。(ZUU online編集部)
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