ヘルスケア①

J -REIT市場に新しい局面がやってきそうです。以前から注目されていたヘルスケア施設に対して、ここにきてようやくヘルスケア特化型REITが登場し始めました。今までにもヘルスケア施設を運用資産に取り込んでいる例はありますが、特化型はありませんでした。この度、新生銀行(証券コード8303)やケネディクス(証券コード4321) 、長谷工コーポレーション(証券コード1808)、三菱UFJ信託銀行、LIXILグループ(証券コード5938)、損害保険ジャパンは資産規模1,000億円、取得物件数70件程度を目標に介護・医療に特化したREITを年内にも立ち上げるというニュースが出てきたのです。

ヘルスケア特化型REITについては、この件が初めてではありません。すでに大和証券グループ(証券コード8601)が上場時に200億円から300億円の資産規模を目指して運用を始めていますし、三井住友銀行、NECキャピタルソリューション及びシップヘルスケアホールディングスも資産規模200億円程度での上場をめざし、ヘルスケア特化型REITの運用を開始しています。このような社会保障分野への資金流入の試金石となりそうです。

インヴィンシブル投資法人やアドバンス・レジデンス投資法人のように一部に有料老人ホームを組み込んでいる例は今までにもあります。しかし、ヘルスケア特化型REITは認可の問題があり、今までありませんでした。ヘルスケア特化型REITの解禁を受け、これからも続々とREITの設定が続きそうです。ヘルスケア特化型REITは賃料が安定していると言われ、住居型REITに近い性質となりそうです。

日本はすでに超高齢化社会に突入しており、これからも老人ホームや医療施設のニーズは高まるばかりです。一方で、これらの施設を建設するための資金調達をどうするかという点が問題でもありました。不動産投資信託という手法は、この問題を上手く解決し、ヘルスケア施設の円滑な建設を促すこととなりそうです。投資家として考えるべきことは、この機会に対し先回りして、これらの施設に投資をしておくことではないでしょうか。ヘルスケア特化型のREITは何も新しく建設するものばかりを組み込むわけではありません。市場にすでに存在している施設を買っていくということも十分に考えられます。REITによりヘルスケア施設の売買が活発になり流動性も高まれば、投資のリスクも軽減し、早期に資金回収が図れることにもなります。