(写真=PIXTA)
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生命保険協会が12月1日に発表した2015年4~9月の収入保険料(41社合計)は、前年同期比2.7%増の18兆7860億円だった。特に、金融機関の窓口を通じて販売する「外貨建ての一時払い保険」が円安を背景に好調で、個人保険の新規契約数は4.2%増と3年ぶりに前年同期を上回った 。

なぜいま外貨建ての一時払い保険がここまで人気なのだろう。今、本当に「買い時」なのだろうか。

外貨建て一時払い保険の概要

「外貨建て保険」とは、文字通り「外貨」で運用される保険である。保険の基本的しくみは日本の保険と同じで、個人年金保険、終身保険、養老保険などがある。保険料の支払いは、毎月支払うことも可能であるが、一時払いが人気だ。

その理由としては、保障目的というよりは資金運用目的で購入している人が多いからだ。異次元緩和により低金利が続いている中、預貯金に代わる資産運用商品として注目が集まっている。外貨の種類は保険会社により異なるが、米ドル、ユーロ、豪ドルが主な通貨である。中でも、金利の高い、豪ドル建ての商品が人気だ。

外貨建て保険は、外資系の保険会社が強いのであるが、国内の保険会社もこの状況を見て、外貨建ての商品の積極投入を始めている。

外貨建て一時払い保険5つのメリット

外貨建て一時払い保険のメリットとしては、①高い予定利率、②為替リスクのヘッジ、③為替差益の享受、④相続対策に有利、⑤節税効果があるといった点が挙げられる。

① 世界的に金利は低くなっているものの、外貨建て一時払い保険は、円建ての保険に比べて利率が高い。長期にわたる運用では金利の差は大きいので、利率の面では圧倒的に外貨建ての保険が有利といえる。

② 国際取引が活発に行われている現代においては、自国の通貨のみ保有していた場合、円安により購買力が低下するという問題がある。外貨で資産を形成すれば、当該通貨による購買力の低下を避けられるので、為替リスクをヘッジすることができる。

③ 運用は外貨で行うが保険料や保険金等の入出金は円で行うという商品の場合、保険金や解約返戻金の受取時に加入時より円安になっていると、利益が得られる。たとえば、利率を無視した場合、1ドル100円の時に1万ドルの終身保険に加入するため一時払いで100万円を支払ったとする。その後、1ドル150円になり保険金として1万ドル支払われることになった場合、日本円では150万円受け取ることができる。つまり、為替差益だけで50万円のプラスになったわけである。これに利息がプラスされるのでさらに受取額は多くなる。

④ 相続税対策という点では、外貨建ての保険商品に限ったものではないが、500万円×法定相続人数までは非課税になるので、現金等で持っているより相続税評価額を下げることができる。また、相続税は原則として現金で納付しなければならないが、相続財産は遺産分割協議が終わるまで凍結される。それに対して生命保険の死亡保険金は受取人が指定されているので、通常1週間程度で受け取ることができる。この点も保険が有利な点である。

⑤ 節税対策というのは、外貨建て一時払い保険を途中解約した場合、解約返戻金が払込保険料を上回った差額は、所得税法上「一時所得」になる。一時所得には50万円の特別控除があるので、差額が50万円以内ならば課税はされない。

3つのデメリット

逆にデメリットとしては、①元本割れのおそれがある、②カントリーリスク、③為替手数料がかかる、などが挙げられる。

① メリットのところで為替の影響を受けるので保険金や解約返戻金の受取時に加入時より円安になっていると利益が得られると説明したが、逆に保険金や解約返戻金の受取時に円高になっていた場合には損失が発生する。その場合、為替次第では元本割れしてしまう。また、一時払いとは言え短期間で解約すると払込保険料よりも解約返戻金が少なく元本割れしてしまうことがある。

② インターネットの普及により国内と海外との情報格差はなくなりつつあるが、それでも海外の情勢はつかみにくいところがあり、政治、経済、社会環境の変化、自然災害などのカントリーリスクがある。

③ 国内通貨から外貨へあるいは外貨から国内通貨へ振り替えする場合、為替手数料が掛かるのでその費用の分運用は不利になる。

加入時の注意点

外貨建て一時払い終身保険に加入する上で注意すべき点としては、国内の生命保険と違い為替の影響を受けるので、為替の方向性を確認することが重要だ。予定利回りだけに目を奪われるのではなく、為替が現時点より円安方向に向かうということを必ず確認して欲しい。また、金利という点では外貨建て保険だけでなく、外国債券、外貨建て預金、外貨建MMFなどの金融商品もあるので、これら金融商品とも比較してどれが良いか決めるとよい。

以上のとおり、外貨建て一時保険は人気なのだが、今買い時なのかどうかは慎重に判断しなければならない。米国の利上げが実施され、目先ドル円では円安が進むとみられているが、ドル高先行により、ドル売りが行われるとの見方もあり、先行きは不透明だからだ。また、ヨーロッパ経済も難民問題などで財政負担が増大しており、安全資産として円高になる要素は十分にある。

為替の見極めは非常に難しいものなので、誰も将来のことはわからないが、極端に外貨だけに資産を移転するのは危険なので、あくまで余裕資金で運用することが肝要である。(ZUU online 編集部)

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