ジュニアNISA
(写真=PIXTA)

2016年より証券税制の変更やマイナンバー制度の導入など様々な変化がある。併せて、新しく「ジュニアNISA」制度も始まることになっており、その制度や現行のNISAとの違いをきちんと理解した上で、活用したいところだ。そこで、ジュニアNISAの制度について確認しつつ、注意点をおさらいしたい。

そもそも、「NISA」ってなんなの?

ジュニアNISAの前にまず、現行の「NISA」について解説しよう。2014年1月から導入された「少額投資非課税制度(NISA)」の略称であり、同口座で購入した上場株式や上場投資信託などの配当金、売買益などへの課税を免れられるおトクな制度だ。さらに、株式や上場投資信託の買入はこれまで年間100万円に制限されていたものの、2016年から120万円まで上限が拡大され、より使いやすい制度に変わりつつあるのだ。

ただし、NISAには特有の制限もある。具体的には、株式や上場投資信託などの売買で損失が発生しても、特定口座や一般口座で保有する他の株式などの配当金や売買損益との損益通算はできず、非課税期間も投資をした年から、最大で5年間に区切られていることに注意しなければならないだろう。

じゃあ「ジュニアNISA」ってなに?

では、「ジュニアNISA」が何かと言えば、子供のための小口の資産運用を非課税で行える制度だ。子供の将来に向けた資産運用のための制度だといえ、NISAと同じように、購入した株式や上場投資信託などの配当金および売買益などが非課税となる。ただし、日本在住の0歳から19歳の未成年者に限って利用可能で、具体的には、2016年のジュニアNISA口座を開設可能なのは、2016年1月1日時点で19歳以下の子供に限られることになる。

また、その口座の開設は1人1口座、一つの金融機関のみに限られていることに注意しなければならない。それに従来のNISAでは口座を開設している金融機関を変更できるが、ジュニアNISAでは金融機関の変更が不可能なところが、注意点として挙げられる。

なお、ジュニアNISA口座の運用管理については、原則として親権者等(口座開設者本人の法定代理人、または法定代理人から書面による明確な委任を受けた口座開設者本人の二親等以内の者)が代理して行うこととなっている。必要な提出書類も、成人者用のNISAでは基準日の住所が記載された住民票であったが、ジュニアNISAの場合は、マイナンバーに限られている点も確認が必要なポイントである。

「ジュニアNISA」では40万円小さい非課税枠

配当金や分配金、譲渡益が最長5年間非課税となる点はNISAもジュニアNISAも同様であるが、その購入可能額は、NISAの120万円と異なり、80万円となっている。よって、合計400万円とやや少なさを感じるものの、贈与税の基礎控除である年間110万円の範囲内で資産を移動できるため、相続対策としては十分な金額となっている。

もうひとつの重大な相違点として、払出に制限が設けられていることがある。ジュニアNISAが子供の進学や就職などのための資産形成を目的として創設されたものであることから、いつでも払い出しのできない制度になっており、注意が必要だ。具体的には、口座の所有者が18歳(3月31日時点)になる年の前年、その12月末までは原則的に払い出しも不可能となっているのだ。18歳未満で払出す場合は、全部解約の上、ジュニアNISA口座の廃止による払い出しのみが可能となっており、過去の利益についても基本的には、遡及的に課税される。

なお、買い付け可能期間は、2016年から2023年の8年間となっており、ジュニアNISA制度期間内に20歳となる場合は、NISA口座へ移し替えが可能で、20歳になる前に制度が終了してしまう場合は、非課税のまま継続保有が可能で、売買代金等は払出し制限付きの課税ジュニアNISA口座へ移動される。

NISAと同じ、だけど重要なポイント

現行のNISAでは、未使用部分の非課税投資枠を翌年以降に繰り越せなかったが、ジュニアNISAにおいても、同様だ。非課税枠を使い切らなかった場合、無駄になってしまう点には注意すべきだろう。ただし、年内の非課税枠をつかって買い付けを行い、その年のうちに売却したとしても、その空いた非課税枠を利用して再度、買い付けを行うことはできない。

なお、配当金などの受け取り方法次第では、非課税とならない点も、NISAと同様であり、株式数比例配分方式の場合は非課税であるものの、それ以外の受け取り方式であれば、20.315%が課税されるので注意が必要だ。具体的には、ゆうちょ銀行や郵便局での配当金受け取りの場合は課税される。

また、繰り返しになるが、ジュニアNISA口座で購入した年の1月1日から起算して5年以内に売却した場合に、売買益が非課税となるため、非課税枠の再利用はできないので、短期売買でNISA枠を使い切るのではなく、中長期的な視点で売買を行い、配当金等の非課税を最大限生かすのがベストな投資スタイルと言えそうだ。(ZUU online 編集部)