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投資の応用
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新興国通貨の動向に注目

ブラジル国債の格下げ、投資家の投信はどうすればいい?

(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ブラジル国債が投資不適格のジャンク債の扱いに格下げされた。ブラジル投信・レアル債券を保有する投資家にはどのような影響が考えられるだろうか。目先で回復するような兆しは今の所無さそうだ。投資家が保有しているブラジル投信は、泣く泣く損切りしたほうがよいのだろうか。

ブラジルはジャンク級の扱いに

ブラジルの景気後退、財政悪化、政治的不安定が続いている。2015年9月9日に格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がブラジルの長期外貨建てソブリン債の格付けを「BBB-」から投機的格付けの「BB+」に、自国通貨建てソブリン債を「BBB+」から「BBB-」にそれぞれ1段階引き下げた。外貨建てソブリン債はジャンク債の扱いである。今後の見通しもネガティブとしている。

12月16日には、格付け会社のフィッチ・レーティングスが、S&Pに次いでブラジルを格下げした。ブラジルの信用格付けを、1段階引き下げ「BB+」とし、ジャンク債級に引き下げるとともに、見通しを同様に「ネガティブ」にしている。

フィッチの格下げ後、ブラジルの10年長期債は13年10月の以来の高水準の16%台まで上昇。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、ブラジル国債の保証コストは一時500ベーシスを超えるなど7年ぶりの高水準レベルになっている。

ムーディーズはまだ格下げには動いていないが、追随する可能性も高いだろう。先行して下げたS&Pは、景気・財政的問題だけでなく政治的な懸念から、今後3分の1以上の確率でさらなる格下げの可能性があるとしており、再格下げの懸念がついてまわる。

ブラジルレアル安止まらず 株、投信などの評価損拡大

9月のS&Pの格下げ後、米国の利上げ懸念による新興国通貨安もありブラジルレアルは大きく売られた。レアル円は、9月24日には、28.11円と市場最安値を更新している。その後、11月23日には33.26円まで戻したものの、フィッチの格下げを受けて、12月21日には29.96円と再び30円を割った。その後は、30円台-31円台で推移している。

レアル円を長期でみると、2008年にはBRICsの時代とはやされ、リオ五輪の期待もあり、70円近辺まで買われた。リーマンショック後、一時30円台まで下げたものの2009−2011年の間はほぼ50円前後での取引が中心となっていた。

2008年から2012年にかけて、ブラジル債が高金利通貨であることと2016年のオリンピック期待が高まったこともあって、ブラジル債券やブラジル債券を組み入れた投資信託、ブラジル株の投資信託などがかなり販売されてきた。

また、毎月分配型の投資信託で分配金を高くするため高金利のレアル建てで2階建てにしたコースが、日本株投信や外国株投信などに組み込まれて多数設定されている。こういった商品が評価損をかなり抱えている。

代表的なブラジル株投信は年初来−45% ブラジル債投信は−26%

ブラジルの代表的株価指数であるボベスパ指数の年初来の下落率は13%程度。レアルは対円で32%程度下落している。

したがって、ブラジル株だけの投信としては日本で最大のHSBCブラジルオープン(純資産残高289億円)の1年間のトータルリターンは▲45%と厳しい下げなっている。

また、ブラジル債券投信で日本では一番残高の大きい大和投信のブラジル・ボンド・オープン(純資産残高1541億円)の一年間のトータルリターンは▲26%となっている。 毎月分配型の投資信託でレアル建てのファンドに関しても評価損が膨らんでいるはずだ。

 IMFはブラジルのGDP成長率を下方修正

ブラジルは中国とともに新興国の代表であり、最大の貿易相手国は中国だ。中国景気の動向に左右されるため、ブラジルレアルは中国株式市場との連動性が高くなっている。2015年の夏も米利上げ懸念と中国の失速懸念で中国株が売られたときに大きく売られた。米国が9年ぶりに利上げを開始した現状では、中国やブラジルなど新興国はまだ不安定さが残る展開が予想される。

また、ブラジルは世界有数の資源大国である。例えば、原油についてほぼ全て自給できる水準であり、鉄の原料である鉄鉱石生産量世界2位、アルミニウムの輸出量世界1位等、様々な資源を持っている。原油はネットでは輸入国なため、他の産油国ほどのダメージはないはずだが、資源安が景気の足を引っ張る可能性も念頭にいれておきたい。

ブラジル経済を取巻く環境は依然として厳しく、政治的な不安定もあり、短期的には不透明要因が強い。ちなみに、政治問題というのは、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスが有力政治家に不正献金を行ったという汚職疑惑。現在、ルセフ大統領の10月末の支持率はなんと7.7%というとても低い状況になっている。

国際通貨基金(IMF)の2015年10月時点での世界経済見通しでは、ブラジルの2015年のGDP成長率予想を7月時点の-1.5%から-3.0%に-1.5%の大幅下方修正、2016年予想も+0.7%増から-1.0%へ-1.7%の大幅な下方修正をされている。

ブラジル関連の金融商品はどうすればいいのか?

ただ2016年の米国の利上げがスムーズに行われ、現在落ち着きを取り戻している中国経済が減速しないのならば、すでにレアルは現状の経済・財政の悪化は織り込んでいる可能性は高そうである。

長期的には、ブラジルの人口が多く、資源も持っており、ポテンシャルが非常に高いということ自体は何も変わりはない。政権交代によって経済政策がうまくまわるようになれば、再び成長軌道に乗っていくこと可能性も大きいと考えられる。ここで損切りをするよりもレアルのリバウンドを待つべきなのではないだろうか。ただし、米利上げで再び新興国通貨が売られた場合には損切りを考えてもよさそうだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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