税金,医療費,年金
(写真=Thinkstock/Getty Images)

私たちは多様な場面で、税金を納め、日常の買い物などで代金を支払い、医療費を支払っている。しかし、こうした「払わなければならないお金」も、制度を上手く利用し、自ら申告すれば、割引を受けられたり、一部お金が戻ってきたりする。

これらの「お金を取り戻せる」制度について、国や自治体は大きな声でPRしているわけではない。知らない間に制度が新設されたり、変更されたりしている。つまり、取り戻すためには、私たちが自ら制度を知り、申請しなければならないのである。

筆者は2014年に社会保険労務士・FP事務所を開業して以来、様々な「お金の相談」に携わってきたが、今回は「取り戻せるお金」について解説したい。


暦年中途退職による源泉徴収税の還付

年の中途で退職し、同年内に再就職していない人は、実は税金を取り戻せるのだが、実行している人が意外と少ない。

会社に勤めている人は毎月給与から、「源泉所得税」が天引きされていることは、ご存知だろう。しかし、その金額を意識している人はどれぐらいいるだろうか。金額は国税庁が発行する「源泉徴収税額表」から算出されるが、これは基本的には「基礎控除」と「扶養控除」のみが考慮された金額となっている。

従って、年度途中で扶養家族が増えた、生命保険料を払っている、家族の国民年金保険料を負担しているなど、年末調整で考慮されるものが全く反映されないまま税額が確定することになってしまう。何より、給与所得のみで103万円(平成2016年現在)までなら、所得税を支払う必要はないので、天引きされた税金は全額取り戻せることとなる。

税金を取り戻す方法は「確定申告の還付申告」をすることである。翌年1月1日から5年の間に申告すれば良く、混み合う確定申告期間に申告する必要もない。手続きは難しいものではないので、該当する人は確定申告期間をはずして、ぜひ申告したい。

意外と忘れがちな「健康保険からの給付」

私たちが支払っている健康保険料。保険料が高いと感じることもあるかもしれないが、健康保険からは様々な給付があり、見逃せない。国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合に関係なく使えるものなので、ぜひ知っておいて欲しい。健康保険からの給付は大きく分けて下記の2点である。

①高額療養費・高額介護合算療養費制度

昨今の高齢化に伴って、医療費・介護費用の負担は家計を大きく脅かすものとなっている。そんな中で、これから紹介する2つの制度は大きな助けとなるので知っておこう。

「高額療養費」は、一部負担金等世帯合算額が一定額以上となった場合、その超える金額が支給されるというものだ。この制度を使えば、一般的な所得なら月4万4000円、所得の多い人でも8万3400円の負担で済む。以前は、一旦窓口で医療費を負担し、その後請求によって支給されるものであった。しかし現在では、あらかじめ「限度額適用認定証」を取得し窓口に提出すれば、自己負担限度額までの支払いで済む制度ができたのでぜひ活用したい。

また、「高額介護合算療養費」は、高額療養費と高額介護サービス費の支給を受けても、なお残る実質的な負担額の年間合計額が、一定の負担限度額を超えるときに支給されるものである。これも申請しないと支給されないので、ぜひ検討してみるべきである。

②埋葬料・家族埋葬料・埋葬費

本人や家族が亡くなったときに、申請すれば受け取れるのが、「埋葬料」「家族埋葬料」だ。金額はそれぞれ5万円。また、本人の死亡に際して、親族や知人などが葬儀を行った場合には、「埋葬費」として最大5万円までが支払われる。これも請求を忘れている人が多い給付のひとつである。

死亡により「もらえなかった年金」

年金についてもぜひ知っておいてほしいことがある。年金は本人が生存していた月の分までは受給できる。しかし、2カ月分が後払いであるため、亡くなったあとに支払われることとなってしまう。

死亡が確認されると基本的に口座は凍結され、入出金ができなくなるばかりか、振り込みも受けることもできない。そのため、年金の振り込みは拒否され、お金が宙に浮いてしまうケースが多い。

年金受給者が亡くなった場合、生計維持関係のあった人が、年金事務所などで「未支給年金請求」の手続きをすれば、宙に浮いた年金は請求者に振り込まれることとなる。忘れないように手続きしたい。

老後資金のための「確定拠出年金」

「確定拠出年金(DC)」は、確実に老後資金を貯めることができる、節税効果の高い制度だ。なぜなら、掛け金については全額所得控除の対象となり、所得が減額されるからである。また、将来受け取る際には、一時金なら「退職所得」とみなされ「退職所得控除」を、年金で受給すれば「雑所得」の「公的年金等控除」の恩恵を受けることができ、これもまた対象となる所得を減らすことができる。

ただ、自分で運用する必要があるので、その成否は自己責任となるが、超低金利が続く昨今、一考する価値はある。

所得が低くなるということは、所得税が安くなるということだが、それだけではない。住民税や国民健康保険料、介護保険料の額にも影響を与えることがあることを忘れてはいけない。そして、所得税・住民税の額によって、その他「行政などが実施する優遇制度を利用できる可能性が広がる」ということも考え、手間を惜しまず申請するべきである。

小野みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。 FP Cafe 登録FP。

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