インターネットを介して個人のモノやサービスを不特定多数が貸し借りする「シェアリングエコノミー(共有型経済)」が世界的に広がっている。日本でも旅行者に部屋を貸す「民泊」に関する政府の規制緩和などを追い風に、市場規模拡大が予想される。有力ベンチャーも相次ぎ登場しており、それらと提携関係にある企業を中心に関連銘柄を探る動きが加速しそうだ。
自動車から住宅、衣服、さらには家事のようなサービスまで。従来のように普通に買うのではなく、一定期間だけ借りたり、リユース品で必要を満たす「シェアリング」が急速に普及している。それ自体は古くから存在する習慣だが、仲介手段としてネットが使われることで爆発的な需要成長を引き起こした。
米国など海外では民泊を仲介する「Airbnb(エアビーアンドビー)」や、オンデマンド配車の「Uber(ウーバー)」といった新興サービスの利用者がここ数年で急増。2013年時点で世界で約150億ドル(約1.8兆円)だったと推計されるシェアリングエコノミーの規模が、25年には3350億ドルと20倍以上に膨らむとの予測もある。
クックパッド、メディア工房など
日本にも共有型経済の波が押し寄せている。インバウンド(訪日外国人観光客)の増加で宿泊施設の不足感が強まっていることを受け、政府は法律上グレーゾーンとされる民泊を認める方向でルールを整備する。民間レベルでもクラウドワークス <3900> やガイアックス <3775> などが一般社団法人・シェアリングエコノミー協会を設立した。
また、昨年成立した改正金商法により、いわゆる「株式投資型クラウドファンディング」が解禁されることも追い風だ。未上場企業の資金調達を後押しすることで、プレーヤーの増加につながる公算。矢野経済研究所では18年度のシェアリングエコノミー市場の規模(サービス提供事業者の売上高ベース)が、15年度推定比で1.6倍の462億円に拡大すると予想している。
株式市場では既にAMBITION <3300> やプロパスト <3236> といった民泊関連株が注目されているように、新たな投資テーマとしてシェアリングエコノミーの存在感が高まりつつある。
民泊以外では、衣服などを扱うフリーマーケット(フリマ)アプリで知られるファブリック(東京渋谷区)に出資するクックパッド <2193> や、ファッションレンタルベンチャーのガールズスタイリング(東京港区)と提携するメディア工房 <3815・> 、駐車場のシェアリングサービスを展開するAkippa(大阪市)と提携するバイク王&カンパニー <3377> などに注目したい。(1月15日株式新聞掲載記事)