(写真=PIXTA)
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1月31日は「生命保険の日」

あまり知られてはいないかもしれないが、1月31日は「生命保険の日」である。これは、「日本で生命保険の保険金が最初に支払われたことが新聞に報じられた日(1882年(明治15年)1月31日)」に基づいている。

MDRT日本会が、2009年1月に「1月31日」を「生命保険の日」と制定している。MDRT日本会は、「新聞に報じられたことから、世間の注目を引いた日で、お客様のために初心を忘れないようにと、この1月31日を『生命保険の日』としました。」と述べている。

因みに、MDRTとは、Million Dollar Round Tableの略であり、1927年に発足し、現在では、世界67の国と地域の500社以上で活躍する、43,000名以上(2015年8月現在)の会員を有する、卓越した生命保険と金融サービスの専門家による国際的かつ独立した組織、である。

なお、この時のプレス・リリース資料(*1)によれば、「この日本最初の保険金は、1881年(明治14年)7月9日に日本で最初に設立された有限明治生命保険会社(現明治安田生命保険相互会社)によって、1882年(明治15年)1月27日に支払われている。

さらに、この最初の保険金支払の対象になったのは警察関係の方で、支払った保険料が30円、遺族が受け取った保険金は1000円とのことで、当時の物価から推測すると、現在なら保険料10万円、保険金300万円程度の金額になる。」とのことである。当時は、生命保険を全く知らない人も多かったため、この記事が大きな衝撃をもって受けとめられたと言われている。

現在では、もしもの時のために、ということで、生命保険は幅広く知られたものとなり、日本は世界の保険大国になっているが、まさにこの時の新聞記事がその後の生命保険の普及の1つの契機になっていたということである。

こうした経緯を踏まえて、「生命保険の日」の制定を機会に、生命保険の本来の意味について改めて考え直す良い機会になれば、という思いが込められている。

米国は5月2日が「生命保険の日」

なお、米国においては、毎年5月2日が「生命保険の日(National Life Insurance Day)」となっている。こちらは、「1759年のこの日に、米国において初めて生命保険が購入可能になったのを記念して制定されている。」とのことである。

フィラデルフィアとニューヨーク・シティの長老派教会の全教会大会(The Presbyterian Synods in Philadelphia and New York City)が1759年に長老派教会の聖職者の困窮した未亡人や子供たちの救済のための組合(the Corporation for Relief of Poor and Distressed Widows and Children of Presbyterian Ministers)を設立し、1759年5月2日にその設立勅許状(charter)が登記ざれた、ことに由来している。

ただし、米国には「保険啓発の日」(Insurance Awareness Day)という日もあり、6月28日に設定されている。その設定の背景や歴史については必ずしも明確ではないとのことだが、日本と同様に、保険の意義を認識してもらい、保険に対する意識を高めてもらうことを意図しているようである。

日本と米国の「生命保険の月」

生命保険に関しては、「生命保険の月」というものもある。

日本では、昭和22年に、生命保険協会が11月を「生命保険の月」に制定して、生命保険の普及・啓蒙活動により一層取り組む月としている。

この由来については、当時、第2次世界大戦によって壊滅的な打撃を受けていた生命保険業界に対して、GHQ(連合国総司令部)保険担当官J.P.ロイストンから、「11月を『生命保険の月』として、生命保険の奨励運動を展開してはどうか」との提案があり、生命保険協会も、生命保険再建記念としてふさわしい行事であるとこれを受け入れた、ことによるとされている。

当時は、生命保険に入る場合には、毎年1回保険料を支払う「年払タイプ」が中心であり、さらに、保険商品も貯蓄型の「養老保険」が中心で、保険料も相当の金額になるものだった。一方で、当時は農家の方が多く、秋にお米の収穫があり、それを農協に販売して、お金が入る時期との関係から11月が最適な時期だった、とも言われている。

因みに、日本に「生命保険の月」の制定を提案した米国にも、同様の概念がある。米国では9月が「生命保険啓発の月」(Life Insurance Awareness Month) と設定されている。ただし、こちらは2016年が第13回目ということで、日本に比べると歴史が浅いようである。

最後に

最近何かと記念日を設定する動きが多いが、その中には、過去の歴史的な経緯に由来しているものも多い。時にはゆっくりとその意義をかみ締めてみることも、豊かな人生を送る上では、大きく参考になるものと感じた次第である。

(*1)https://www.mdrt.jp/reports/images/topics090131_1.pdf。

中村 亮一
ニッセイ基礎研究所 保険研究部

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