CSR
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「SDGs(持続可能な開発目標)」をご存知だろうか。企業に関わる重要なイニシアチブの一つで、2001〜2015年に掲げられた「MDGs(ミレニアム開発目標)」の後継として定められたものだ。SDGsは、2016年から2030年まで15年間の国際的な目標であり、MDGsで達成できなかった課題(保健、教育等)や、新たに顕在化した課題(環境、格差拡大等)に対応すべく、17の目標と169のターゲットから構成されている。

SDGsに法的拘束力はなく、国連加盟各国は17の目標の達成にそれぞれが当事者意識を持って取り組むこと、各国独自の政策、計画、プログラムを策定し、国内での枠組を確立することが期待されている。またMDGsが主に途上国に関わる目標であったのに対し、SDGsは途上国と先進国の双方に関わるユニバーサ ルな目標となっている。

SDGsを構成する17の目標

SDGsの達成には企業の取り組みが欠かせない。それぞれの課題解決は単なる政治目標ではなく、企業の貢献なしには成し得ないからだ。それは、全世界の共通目標であり、途上国のみならず先進国でも取り組む必要がある。そしてこれらの目標は、企業を取り巻くステークホルダーの関心事として考えることもでき、企業が対応する必要がある課題が含まれていること、また企業は自社の技術や知識、経験などを活用して課題解決に多大な影響を与えることができるということである。

これらSDGsは以下の17の目標によって構成されており、企業がビジネスとしてCSRを取り組むための世界的なアジェンダといっても良い。

(1)貧困の撲滅。
(2)飢餓の撲滅、食料安全保障及び栄養改善の実現、そして持続可能な農業の促進。
(3)健全な健康の確保と福祉の促進。
(4)質の高い教育の提供と生涯学習の機会の促進。
(5)ジェンダーの平等の達成と全ての女性へのエンパワーメント(権限付与)。
(6)安全な水と衛生の確保と持続的な管理。
(7)安価でクリーンなエネルギーへのアクセスの確保。
(8)持続可能な経済成長の維持とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進。
(9)持続可能な産業とイノベーションの推進とインフラストラ整備。
(10)国内/各国間の不平等の削減。
(11)持続可能な都市とコミュニティの実現。
(12)持続可能で責任ある消費と生産。
(13)気候変動の影響への緊急対策。
(14)持続可能な開発のための海洋と海洋資源の保全と方法。
(15)地上生態系の保護・回復・持続可能な利用の促進、持続可能な森林管理、砂漠化対策、土地劣化阻止と回復、生物多様性の損失の阻止。
(16)平和で包摂的な社会の推進、司法へのアクセスの提供、そして制度の構築。
(17)目標達成のための国際的なパートナーシップの活性化

日本企業の世界戦略への落とし込みを期待

上記17の目標は新規のビジネス開拓でもあり、企業の持続可能性にも関わっている。たとえば(2)の「飢餓の撲滅」は、食品・飲料企業が「栄養改善」、「食糧安全保障」をビジネスとして実施することが目標に貢献できるとともに企業の持続可能性にもつながる。また生産を維持するために、世界の各地域で持続可能な方法により農業支援を実行することも、原材料を安定的に確保することにつながる。

また、(12)の「持続可能な消費と生産」の推進は、企業が持続可能な生産に取り組むことが、消費者の持続可能な消費を生むので、企業の取り組みと消費者への促進が望まれる部分である。また(13)気候変動や(15)生物多様性等も他の環境関連目標と切り離せない重要なテーマでもあり、持続可能な開発の3つの側面である経済・社会・環境の統合の鍵となる。

WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)では、企業がSDGsに取り組めるように「SDGsコンパス」を策定、「企業毎のSDGsの目標・ターゲットの優先順位付け」、「SDGsを踏まえた、企業ごとの目標設定」、「本業への取り込みと、ステークホルダーとの連携」、「SDGsへの貢献に関する報告とコミュニケーション」などをガイドラインとして企業に実施を促している。また、1月19日には国連事務総長がSDGsを達成する為に世界の著名な人物から「SDG唱道者」を任命、企業からはサステナビリティのリーダーとして世界を牽引しているユニリーバCEOのポール・ポールマン氏が選出された。このように今後15年間のSDGsを実現させるため、国家だけでなく企業の積極的な関与が望まれている。国際的な流れの中で、経営戦略への落とし込みを行う日本企業が多数現れ、さらに世界の様々な地域においてもリーダーシップを発揮することを期待している。

【著者略歴】下田屋 毅(しもたや たけし) Sustainavision Ltd. 代表取締役。英国在住CSRコンサルタント。日本と欧州のサステナビリティ/CSRの懸け橋となるべくSustainavision Ltd.を2010年英国に設立。ロンドンに拠点を置き、サステナビリティ/CSRに関するコンサルティング、リサーチ、研修を行う。ビジネス・ブレークスルー大学講師(担当:CSR)

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