2015年12月末にわが国の投資信託残高が過去最高を更新したことはご存じだろうか。投資信託協会によれば、2015年12月末における投資信託の純資産額は97兆7562億円。前年末に比べ4兆2517億円も増加しているのだ。
これだけの資金が運用されている状況にかんがみると、投資信託を利用して実際に運用を行う投資家は増加しており、また投資信託自体の認知度も向上していると考えられる。ただし、わが国において設定されている投資信託の数は5600本以上もあり、どういった金融商品なのか仕組みはわかっても、どれに投資をしたらよいのか明確な基準をもって選ぶことが果たしてできているだろうか。
ここでは、こうした投資信託の選別を行うにあたって、「賢い投資信託」を見分ける3つのポイントを紹介したい。この3つを知ることで、ご自身の運用の効率化を図ることができるようになるかもしれない。
ポイントは「実績・運用哲学・運用チーム」
賢い投資信託を見分けるポイントは、「投資信託の実績を確認すること、運用哲学を確認すること、運用チームを確認すること」の3点だ。いたってシンプルだが、果たして投資信託を購入する際に意識できているだろうか。
投資信託の実績とは、過去のパフォーマンスである。つまり、過去の運用がどうであったのか。一般的には、運用の指標となるベンチマーク(基準。日経平均株価など)が設けられているため、そのベンチマークよりもパフォーマンスがよかったのかどうかを確認することが重要といえる。ベンチマークよりも成績が劣れば、決して有能な投資信託とは言い難い。
運用哲学とは、運用に対する考え方やその投資信託に対する運用者の思いである。運用哲学がぶれるようでは、よいパフォーマンスを得られるとは言い難いし、一貫性をもってぶれない投資手法がつらぬけるかどうかは中長期的な運用への影響もでることであろう。そのため、一貫性をもった運用哲学が期待できる投資信託かどうかを見分ける必要がある。
もう一つの運用チームの確認。これは、スター選手に頼った再現性のない体制ではないかどうかの確認だ。スター選手に頼った投資信託では、スターが辞めるといったことが起きると、運用結果に大きな影響が出ることが考えられるし、また運用哲学なども変わってしまうおそれもある。そのため、中長期的な運用を検討するにあたっては、スターに頼った運用を行っていない投資信託を選ぶことを考えた方がよいであろう。
具体的な投資信託で判断してみると…
以上、3つのポイントをもとに賢い投資信託を見分ける力をつければ、運用の手間や効率性といった観点から、負担が軽減できることであろう。
それでは、もう少し具体的にどのように判断すればよいのか、210年もの歴史をもつピクテグループを一つの例にとって説明していきたい。同グループの日本法人ピクテ投信の投資信託「iTrust世界株式」をもとに考えていこう。この投資信託は、2016年2月19日に設定される新商品であるが、大元の運用戦略は約8年もの実績を持つ。
まず、運用実績について。iTrust世界株式は、高い競争優位性をもつグローバル優良企業の株式に投資しており、既にスイス・ジュネーブのピクテ本社で高い運用パフォーマンスをあげている。3年リターンで対ベンチマークの勝率97%という優れた長期実績(約8年間)をもつアクティブファンドであり、2014年には国内公的年金基金にも採用された運用戦略である。過去の実績としては申し分のない結果であろう。
その背景には、優良企業を見極める視点とそうした銘柄への中長期投資がパフォーマンスを上げるとの「哲学」がある。運用は経験年数30年にもなる投資責任者をはじめとした、堅固なチームによって行われている。
iTrust世界株式は、ネット専用投信であり、信託報酬が低くおさえられている。ネット専用であることから、販促物にかかる費用や人件費といったコストがカットされ、その結果、信託報酬は年率0.89%(税抜)となっている。中長期運用者にとっては、リターンも期待でき、低コストであるとなれば、当然ながら運用商品として検討できるものとなる。また、現状取り扱いのある販売会社ではノーロード(販売手数料無料)となっており、この点も注目だろう。
そして3つ目に、iTrust世界株式の運用チームは、豊富な経験を持つ株式運用最高責任者を筆頭に、熟練の運用担当者が長年の経験に裏付けられた銘柄分析をおこなっている。そして、属人的な選定ではなく、同社独自の "5つの力" 「豊富な資金力」、「優れた開発力」、「価格競争力」、「ブランド力」、「マーケティング力」を基準に成長するグローバルな優良企業を選びだす。実際の選定時には、参考指標のMSCI全世界株価指数を構成する約2400銘柄の中から、最終的には60~80銘柄に絞りだすのだ。
以上、ピクテ投信の「iTrust世界株式」をもとに賢い投資信託を見分ける3つのポイントを見てきた。まずは現在運用している投資信託があれば、これら3つのポイントに適合するかどうか探ってみよう。もし適合しないのであれば、見直す機会となりうる。賢い投資信託選びを行い、資産を守る・殖やすことができるかどうかはあなた次第。
新しく投資信託の運用を検討する場合にも、まずはこの3つのポイントを確認し条件にあったものを選択しよう。そうすれば、投資信託の運用での悩みも減り、日々の運用もさらに関心をもって取り組むことができるだろう。