家計調査の詳細:労働参加率が2ヵ月連続で改善

家計調査のうち、1月の労働力人口は前月対比で+28.4万人(前月:+46.6万人)と4ヵ月連続の増加となった(*3)。内訳を見ると、失業者数が▲12.5万人(前月:▲2.0万人)減少した一方、就業者数が+40.9万人(前月:+48.5万人)と4ヵ月連続で増加した。さらに、非労働力人口は▲8.8万人(前月:▲27.7万人)と、こちらも4ヵ月連続で減少した。

この結果、労働参加率は就業者数の増加が寄与する形で2ヵ月連続の改善となった(図表5)。ここもと、労働力人口の増加基調が明確になってきており、労働参加率の改善に弾みがついてきている。

失業率は小数第2位までとると1月は4.92%(前月:5.00%)であった(図表6)。失業率は低下基調が持続しているものの、これまでは職探しを諦めて労働市場から退出する人の増加を背景に、労働市場改善の実態を伴わない低下もみられた。しかしながら、今月は労働参加率の低下を伴っており、実態を伴う改善と言える。

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次に、1月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、208.9万人(前月:208.5万人)となり、前月対比では+0.4万人(前月:+3.1万人)増加した。この結果、長期失業者の失業者全体に占めるシェアも、26.9%(前月:26.3%)と2ヵ月連続の増加となった(図表7)。一方、平均失業期間は28.9週(前月:27.6週)と、こちらも前月から増加した。

最後に、周辺労働力人口(208.9万人)(*4)や、経済的理由によるパートタイマー(598.8万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(*5)をみると、1月は9.9%(前月:9.9%)と前月と同水準となった(図表8)。さらに、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は5.0%ポイント(前月:4.9%ポイント)と、こちらは前月から0.1%ポイント拡大した。

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(*1)季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
(*2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
(*3)2016年から人口推計を変更しているため、2015年と断層が生じている。ここで記載している労働力人口、就業者数、失業者数、非労働力人口はこの断層を調整した後のもの。
(*4)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
(*5)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。

窪谷浩
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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