(写真=PIXTA)
株式投資は、株価の変動によって得られる収益のほかに、配当による収益を得ることができる。株式投資においては株価の上昇を期待することが前提ではあるものの、長期的に株を保有し、資産形成を行っていくことを考えれば、配当金の有無は重要となってくる。
配当金は株価の変動とは関係なく、保有しているだけで受け取ることが期待できるため、長期投資で重視される点だ。株価は様々な要因によって日々変動するため、短期的には株価が資産価値に大きく影響してくることにはなる。
しかし、株価は本来、業績によって形成されるため、業績が安定している企業で配当金が継続的に支払われる株に投資することができれば、将来的に十分な利益を期待することができる。
インカムゲインとキャピタルゲイン
株式投資の収益には、インカムゲインとキャピタルゲインと呼ばれるものがある。
インカムゲインとは、株を保有することで企業から受け取ることができる配当金による収益だ。株を保有し続ければ、継続的に配当収益を期待することができる。
一方で、キャピタルゲインとは、保有する株の価格が変動することで得られる収益のことだ。例えば、100万円で購入した株が値上がりし、110万円で売却した場合、差額の10万円がキャピタルゲインとなる。
キャピタルゲインはインカムゲインと比べて、大きな利益を手にできる可能性があり、株式投資の醍醐味でもある。しかし、値下がりにより損失を被ることもあるため、キャピタルゲイン狙いの投資には注意が必要だ。
株で得られる配当金とは
配当金は、企業活動の中で得られる利益を株主に分配するものであり、株主は保有株数に応じて配当金を受け取ることができる。
ただし、業績によって変動するため、毎年決まった金額を受け取れるわけではない。業績が良ければ増額されることもあるが、業績が悪化すれば減額や配当が支払われないことも考えられる。
また、配当金の源泉は企業の利益ではあるものの、利益水準の高い企業の配当金が高水準であるかというと、必ずしもそうではない。利益を将来に備えた手元資金とすることや、業務拡大のための投資として使用されることもあるため、利益が全て株主に還元されるとは限らない。
とはいえ、日本企業の配当金は従来、欧米企業に比べて水準が低いということも言われてきたが、近年では株主還元を重視する企業が増えており、今まで以上に利益を株主に分配すること企業も多く見受けられるようになっている。
配当金の有無は株価にも大きく影響している。好業績で配当金の増額が発表されれば投資家の注目度も高まるため、株価が大きく上昇することも珍しくない。配当が比較的安定している企業で、株価が下落している場合、株価に対して配当金の魅力が高まるため、株価を押し上げることもある。逆に、予定していた配当が支払われないと株価の下落要因となる。
配当金を受け取るタイミングと税金
配当金は一般的に、企業の決算時に分配され、中間決算と本決算時に支払われることが多い。例えば、3月期決算企業で年2回の分配を行う企業であれば、中間決算にあたる9月と本決算にあたる3月に分配金が支払われることになる。
日本は3月決算とする企業が多いものの、小売企業などのように2月決算とするところや、国際的な基準に合わせて12月決算に移行する企業も多くなっているため、配当金を目的とする際は、決算期を十分に確認しておくことが必要であろう。
配当金にも株の売買差益と同じように税金がかかることも忘れてはならない。個人が受け取る株式の配当金は、配当所得とされており、所得税と住民税がかかるため、配当金の支払いの際に源泉徴収されることになる。現状は復興特別所得税も課税されており、2014年1月1日以降は、一律20.315%が配当金の税率となっている。
また、配当金は株式の譲渡所得と損益通算を行うこともできる。源泉徴収される配当金だけであれば確定申告を行う必要はないものの、株の売買で損失が出ている場合は、申告することによって、配当金から損失を控除することができる。
無駄な税金を払わないためには、証券会社などが税金の計算をしてくれる源泉徴収ありの特定口座を開設している投資家であっても、自身の取引状況に合わせて確定申告をする必要があるだろう。
配当利回りの注意点
配当を目的に株式投資を行う場合は、株価に対してどのくらいの配当が支払われるかということを表す、配当利回りが重要になる。株価水準は企業によって異なるため、配当の金額だけでは、配当の良し悪しが確認できないためだ。
例えば、株価が1000円で1株10円の配当を実施する企業と、株価2000円で1株10円の配当を実施する企業では、同じ額の配当金であっても前者の方が配当の魅力が高いと言える。
しかし、配当利回りが高いほど良いかというと、そうとも限らない。配当利回りは、配当金額が増加した時か、株価が下落した時に上昇することになるが、注意すべきは株価が下落している時だ。
前述したように、株価が下落し、配当の魅力が高まると、配当利回りの上昇が株価の買い支え要因となることも考えられるが、その場合は業績の見通しが良いことが前提となる。業績の悪化している企業は現状で配当を維持できていたとしても、将来的に減額される可能性が否定できない。
相場全体の動きと関係なく、業績の悪化や個別で悪材料が出ているために中長期的に株価が下落して、配当利回りが上昇しているという株は少なくない。
いくら配当利回りが高くても、株価が持続的に下落しているような株は、配当の効果が薄れてしまう。配当を目的とした株式投資においては、配当利回りを重視することは大切なことではあるが、過去の株価の流れを確認しておく必要もあるだろう。
株式投資は短期間で大きな利益を期待することができるものの、短期的な株価の動きを予測することはプロであっても容易ではない。時間に限りのある個人投資家にとってはなおさらだ。短期的な株価の動きに一喜一憂するのではなく、資産の一部を株式投資に回し、資産形成を行っていくということを考えるのであれば、配当金を含めた長期投資を心がけることが効果的であると思われる。
まずは証券会社の開設を
株式投資をするにはまず、証券会社に口座を開く必要がある。今回は、長期投資をすることを見据えて取扱商品が多い証券会社をご紹介する。
SBI証券
ネット証券では最多の350万口座を誇る「 SBI証券」。最大手という安心感からか、初心者の人気が他のネット証券に比べると高いようだ。取扱商品が多いのも人気の理由である。外国株やIPO銘柄など、それぞれにおいて取扱数は他のネット証券を上回る一方で、ミニ株やPTS(時間外取引)など取扱商品の種類も豊富だ。
カブドットコム証券
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