(写真=PIXTA)
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目的や個人の受け止め方によって、「借金」にも「投資」にもなり得るのが「ローン」の大きな特徴だろう。

最も分かりやすい例では、住宅ローンなど世間に胸をはって「借りました!」と自慢できるローンを「投資」、ギャンブルや衝動買いの果てに借り出しせざるを得なくなったローンを「借金」と見なす傾向は、日本も英国も同じのようだ。

統計を見る限り、ここ10年ほどで老若男女問わず何らかのローンを抱えている成人の数が急増したのか?という筆者の印象はまったく見当違いというわけではなさそうだ。

以下、英国在住の筆者が同地の事情を調べた。

ローンの種類は大別すると3種

英国で一般的に利用されているローンは、「無担保貸付金」「担保付貸付」「住宅ローン」の3つに大きく分けられており、デビットカードやクレジットカードによるキャッシングなどもある。

ここ数年で社会問題にまで発展している「ペイデイ・ローン」と呼ばれる高額な利息の小口ローンの需要も著しく伸びていることから、「即時即金」を必要とする成人の数が急増しているのは明らかだ。

成人一人あたり490万円の借り入れ

英非営利金融教育団体マネー・チャリティーが今月発表した統計によると、昨年12月末の英国のローン総額は前年より5兆2529円増え、1兆4550億ポンド(約246兆5454億円)に達しており、成人一人につき所得の11%に該当する2万8891ポンド(489万5493円)を、住宅ローンなども含む何らかのかたちで借り入れしている計算になる。

ここで最も気になるのは、果たしてこの数字が「投資」なのか「借金」なのかという点だ。

ローンの大まかな内訳では住宅ローン総額が1兆2770億ポンド(約212兆7517億円)、消費者ローンが1780億6700万ポンド(約29兆6664億円)となっていることから、一見「投資目的のローンが大半を占める堅実な国」という印象を受けるのだが、ふたを開ければ一概にはそうとはいえないようだ。

住宅ローンの大半は高年齢層の投資物件に

「世界1の住宅バブル期」が続いている英国では、現在住宅ローンの借り入れは圧倒的に高年齢層の「Buy To Let(投資目的の賃貸用住宅購入)」に集中しており、昨年は若年層のわずか36%が夢のマイホーム購入にこぎつけたという調査結果が出ている。

現在とは比較にならないぐらい安価で、若い頃にマイホームを手に入れた高年齢層が投資対象として次々に住宅を買い上げ、移民による急激な人口増加と乗じて深刻な住宅難と価格の高騰を生み出した??それが現在の英国住宅バブルの根底だといわれている。

「投資」としてのローンが9割弱を独占している点は日本と共通しているとはいえ、英国では借り手層に大きな偏りがあるということになる。

借金理由のトップ3は「プレゼント」「旅行」「車」

それでは「借金」に値する残りの1割は、どのような人々にどのような用途で利用されているのだろう。英クーポンサイト、バウチャーコードが成人2200人を対象に行ったアンケート結果で最も多かったのは「人や子供へのプレゼントなど(67%)」で、「旅行(55%)」「車の購入(43%)」と娯楽用途が続き、「他者の借り入れの返済(36%)」となっている。実際クリスマス時期には毎年借入額が増加するとの統計が出ている。

日本で借入理由として挙げられることの多い「生活費」は22%、「買い物」は11%、「(自分の)結婚式」は7%とやや低め。投資の部類に入る子供の教育費や成人の資格獲得を含む「学費」は、年々縮小傾向にあるとはいえ政府の支援制度がある限り、「学費地獄に陥る」というパターンはごくまれなようだ。

7分おきに1人が破産

投資ローンが裕福層に限られ、プレゼントや旅行のために借金をする英国人の返済能力も気になるところだ。

英国における破産宣告(支払い不能も含む)件数は1日209件。毎6分53秒に1人が破産していることになる。日本の平成27年の年間破産件数(6万4039件)と比較すると、約1万2000件多く、そのほか州裁判所が毎日平均2330通の支払督促申立書を発行しているというデータもある。

比較的簡単に貸し出しが可能なカードローン関連の破産が非常に多く、利息の高さに近年焦点が当てられている。キャッシュバックやポイント制度などで消費者にアピールしているが、平均利息率は17.89%とイングランド銀行の標準利息率(0.5%)よりもはるかに高く、ストアカード(小売店が発行しているクレジットカード)やショッピングローンなどは30%前後が一般的だ。

クレジットカードでのキャッシング利息は平均8.47%、デビットカードの当座貸越は平均19.67% と、こちらも日本より高めに設定されている。

英国人のローンへのスタンス

カード社会の英国では、デビットカード派とクレジットカード派に案外キッチリと別れており、「どちらに属するか」が各々のローンへのスタンスを表しているように思える。

筆者は「クレジットカード=緊急時用」というスタンスで、デビットカードでの支払いが9割、ペイパルなどの電子決済と現金が1割という日常生活を送っているが、周囲には例え3ポンド(約500円)の買い物でも「ポイントやマイレージが貯まるから」とクレジットカードをきる人も多い。

意識して観察していると、クレジットカード利用者の中でも裕福層は、支払金額や状況によって賢くデビットカードと使い分ける傾向が強いことに気がついた。結局のところ「支払い能力の高さや低さは、個人の所得ではなく金銭感覚によるトコロが大きい」という点は、世界共通なのかも知れない。(アレン・琴子、英国在住のフリーライター)

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