グローバル社会が叫ばれる中で、ビジネス上のコミュニケーションを取る相手が、日本人だけであることは徐々に少なくなりつつある。
日本企業が欧米の企業と取引を行い、そのバックオフィスをインドや中国にアウトソースすることも事珍しくなくなってきた。時代の変化の中で、共通の話題に追いつくためには国内の情報源だけでなく海外の情報源も読んでおく必要がある。
グローバル視点のビジネスパーソンが日頃、当然見ておくべき基本的な英語情報源を5つ紹介する。
もはやインフラのニュースメディア「Bloomberg」
もはや情報源ではなくインフラとなっているブルームバーグ、開きっぱなしというビジネスパーソンも多いはずだ。現代において世界最大のニュース・メディアグループとなっているブルームバーグはビジネスパーソンだけでなく、政治や官僚からも支持を得ている。世界経済に関する指数や為替といった情報や国際ニュースについて1つのサイトで網羅的に取得できるのは魅力だ。
そのニュースやコラムの分析力にも定評がある。日本語版もあるので、日本語版だけでも見ておく価値が十二分にある。海外の情報を取得する為には必須の情報源だ。
Bloomberg
http://www.bloomberg.com/
マーケットはスピード重視 通信社のチェックは必須「ロイター通信」
ブルームバーグがニュースメディアであるのとは異なり、ロイターは通信社だ。その為、ニュースについての分析よりも速報性を重視されている。分析より早くニュース自体を知りたい場合には通信社の方が便利になる。
また米国版のほうが日本語版に比べて、翻訳が挟まれない分、速報性が高くなる。なお、日本の各種報道機関に対して海外のニュースを販売、言わばニュースの卸売りをしているのが通信社であり、ロイター通信はその最大手になっている。マーケットで有利な立場に立つためには、ニュースをより早く仕入れることが重要であり、その為には通信社を見ておく必要がある。
Reuters
http://www.reuters.com/
世界一の経済紙は英語版で「The Wall Street Journal」
世界最大の経済新聞。様々なスクープを掲載しており、エンロンの粉飾決算についてのスクープを行っことなどは有名だ。その分析力や影響力は世界一といわれており、最も信頼度が高いと言われている。
やや保守系、共和党系の立場をとっているものの、社説やコラムなどではバランスをしっかり取っている為、リベラルサイドからも信頼されているメディアとなっている。政治的なニュースであっても、経済や市場側の目線での分析を行う事が多い為、金融関係者等は特に見る機会が多いメディアだ。
こちらも日本語版が存在しているが、英語版掲載後に翻訳を行って掲載がなされている為、速報性を得る為には英語版(米国版)を見る事が推奨される。
The Wall Street Journal
http://www.wsj.com/
ニュースに対する米国の視点を確認「PBS News Hour」
米国の公共ネットワーク・テレビ局であり、PBSニュースアワーは平日夜の報道番組だ。この番組は時事的な問題に対して、賛否両陣営、専門家などによる討論を行うコーナーが中心となっている。1つのニュースについて私たちはどうしても日本人としての価値観で見てしまうが、海外、特に米国ではどの様に見ているのかを知るために極めて役立つ。
たとえば「なぜ今、トランプ候補が大きな支持を得てしまっているのか」ということについて、米国ではどの様に分析しているのか。海外のビジネスパーソンと会話をする際に仕入れておきたい知識だ。
またWeb上に動画にてアップされているために、さほど英語が得意で無い場合でも抵抗が少なく見ることが出来る事も魅力だ。
PBS News Hour
http://www.pbs.org/newshour/
雑談のネタ収集にも「フォーブス」
フォーブスは企業経営者向けの雑誌で、富裕層ランキングなどで話題になることが多い。世界の富裕層が読んでいる経済雑誌だと言われており、その内容は経済についての真面目なコラムから、スポーツ選についてのランキングなど、ちょっとした小ネタまで多岐に及んでいる。「○つの○○」といった記事で様々な事象に触れていたり、様々な分野についてランキングを行っている為、真面目な内容だけでなく、雑談の小ネタの仕入れ先にも利用しやすい。
Forbes http://www.forbes.com/
グローバルのビジネスパーソンとコミュニケーションを取る際に、日本国内だけの価値観のみではリスクを伴う。海外での常識と、国内での常識が大きくずれている事は珍しくない。これからグローバルの視点でビジネスを行っていくビジネスパーソンは、日本の価値観だけでなく世界の価値観をしっかりと認識していくと共に、共通の話題を仕入れる為にも海外の情報源を見ていく必要が出てくる。
ここであげた5つの英語情報源は、世界的に極めて重要な「見ていて当たり前」と言われるものばかり。また広い分野にまたがって触れているサイトだ。まずはこれらから海外の情報を仕入れる練習を行いながら、各専門分野の情報源や関係者のブログなど、より情報取得源を深化させていかなくてはならない。
岸 泰裕 (きし やすひろ)
元外資系金融機関勤務。現在、大学非常勤講師