マーケットビュー

◆中国株 両会への政策期待などから堅調な展開か 不動産株や企業決算に注目

先週の上海総合指数は週間で3.5%高と続伸しました。旧正月の休場中の海外市場の下落を受けて下げて始まった上海総合指数ですが、下げ渋り底堅さをみせると16日には3%を超える上昇をみせ約3週間ぶりに節目の2800ポイント台を回復しました。

市場予想を上回った金融統計を受けて景気減速への警戒感がやや後退したことや、李克強首相が経済の極端な悪化に対応して「果断な手を打つ」と発言したことなどが好感されました。

17日も大幅高と続伸となった上海総合指数ですが、週後半は伸び悩みました。弱い物価統計を受けて経済減速懸念が再び意識されたことに加え、中国人民銀行(中央銀行)の1月末の外国為替資金残高の減少幅が過去2番目の大きさだったことなどが重石となりました。

先週のハンセン指数は週間で5.3%高と大幅に反発しました。週明けの15日に欧米株高や原油価格の上昇を好感して大幅反発となったハンセン指数は、16日も中国の1月の融資増加額が市場予想を上回ったことから続伸となりました。

17日は原油安などを受けて反落となりましたが、18日には米FOMCの議事要旨がややハト派的で米利上げ観測が後退したことを好感し大幅高となりました。週末は利益確定の売りで反落となったものの、ハンセン指数は節目の19000ポイント台を維持して取引を終えています。

今週の上海総合指数とハンセン指数はともに堅調な展開が続きそうです。先週のハト派的な米FOMC議事要旨を受けてドル元が元高に振れていることから資金流失懸念が和らぎそうです。

加えて3月初旬の中国の両会(全国政治協商会議・全国人民代表大会)開催に伴う政策期待が根強いほか、中国の証券監督当局の中国証券監督管理委員会(証監会)トップの異例の更迭や、一部の証券会社で信用取引に対する融資基準が緩和されたことなども好感されそうです。

こうしたなか上海総合指数では3,000ポイントを、ハンセン指数では2万ポイントといった節目をともに回復できるかがポイントとなりそうです。

また、先週末に発表された北京、上海、広州及び深センの四つ都市を除く不動産購入に対する減税策を受けて、今週は不動産株に物色が向かう可能性がありそうです。

さらに、今週は香港市場で企業の決算発表が数多く行われます。22日にはエイチエスビーシー (HSBC・00005)が、23日には大手不動産のニューワールド・デベロッフ(新世界発展・00017)が、25日にはカジノのギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽・00027)や保険のAIAグループ(友邦保険・01299)が、そして26日には大手不動産のCKプロパティ(長江地産・01113)やCKHホールディング (長和・00001)などが決算を発表する予定です。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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