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投資の応用
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【或る銀行員の独白】

銀行窓口の保険販売も回転売買の時代へ

外貨建保険,変額保険,銀行窓販
(写真=Thinkstock/Getty Images)

証券会社は手数料稼ぎのために顧客に株を短期売買させる。銀行も投資信託を次から次へと回転売買させる。ーー金融機関は顧客利益を無視して手数料を稼ぐためにこうした行為を行っていると批判を受けてきた。

金融当局からの指導もあり、今では金融機関が販売担当者に課す目標は手数料ではなく、顧客の預かり資産をどれだけ増やしたかという評価基準へと移行しつつある。しかし、現実問題として金融商品の販売手数料は金融機関の収益を支える大きな柱である。投資信託の回転売買には厳しいチェックが入るようになった今、保険窓販は収益の面からも重要性が増している。

「保険は長期保有」という常識は変わった

銀行で保険の窓販が解禁されて、相当の時間が経過した。かつては銀行窓口で保険を契約することに違和感を覚えていた顧客も、金融商品としての保険を抵抗なく受け入れるようになった。変額保険や外貨建保険など金融商品としての保険が数多く販売された。しかし、リーマンショックによりそれらはことごとく評価損が発生し長らく日の目を見なかった。

そもそも、こうした変額保険や外貨建保険の契約者は、投資信託を購入している人とは客層が異なっている。もちろん、双方を保有している顧客もいるが、一般的に保険を保有している顧客は投資に対して消極的だ。100年に1度とも言われるリーマンショックの大暴落を経験し、もはや彼らは自身が保有している保険の運用益を気にすることすらなくなってしまった。「満期まで保有して、元本だけでも戻ってくれば儲けもの」彼らの多くはそんな諦めの境地にあった。

ところが、相場が底打ちし、反転するとともに情勢は変化する。気がつけば、彼らが保有していた変額保険や外貨建保険には、思いもよらぬ含み益が生じることとなった。投資信託であれば、乗り替えを積極的に勧めることはあっても、保険は満期まで持って頂くーー多くの銀行員が抱いていた、そんな常識はここで様変わりする。

折しも投資信託の回転売買に対する批判が高まっていた時期でもある。投資信託の販売手数料に依存することが難しいのであれば、利益が出ている変額保険や外貨建保険を解約し、乗り替えを勧める。そんな考え方が芽生えることになる。加えて、保険窓販に力を入れる保険会社の方針も追い風となった。ここで具体的な数字をあげることはできないが、一般的に保険窓販によって銀行が得る手数料収入は、投資信託の販売手数料と比較すると遥かに高い。外貨建保険であれば、投資信託の数倍の販売手数料を手にすることができる。担当者が保険の販売に力を入れるのは当然のことである。

保険の乗り替えは悪なのか?

保険に限ったことでは無い。株でも、投資信託でも同じだが、顧客の利益を無視した合理的な理由が存在しない乗り替えは断じて正当化されるべきでは無いのは当然だ。しかし、変額保険や外貨建保険の乗り替えすべてが悪では無い。日経平均株価や米ドル・円は昨年天井を打ち大きく下落している。昨年、私は多くのお客様に利益確定の提案を行った。それが間違っていたとは思わない。

外貨建保険も投資対象は米ドルだけでは無い。ユーロや豪ドル、ニュージーランドドルもある。多くの投資家、そして銀行員も米ドル・円、豪ドル・円の為替レートには注意を払っているが、豪ドル・米ドルの為替レートにはそれほど関心を持っていない。過去数年にわたり豪ドルは対米ドルで大きく下落していた。豪ドル・円のチャートを見ていては気付かないが、豪ドル・米ドルはすでにリーマンショック時に並ぶほど大きく下落している。このような情勢で、米ドル建ての保険を豪ドル建ての保険に乗り替えるという選択肢もあるのでは無いだろうか。もちろん、最終的な判断は投資家が行うのだが、こうした情報はしっかりと提供すべきであろう。

長期契約を言い訳にして、情報提供を怠ってはいないか

また生命保険には税制上のメリットもある。相続税の非課税枠は生命保険をセールスするうえで語り尽くされているが、解約時の差益に対する課税においても生命保険には大きなメリットがある。契約後5年超の解約や終身年金では解約返戻金額と一時払保険料との差額(解約差益)に対して、一時所得と住民税が課税される。投資信託などの金融商品では20.315%の所得税が課税されることと比較すると、ケースによっては大きな節税効果が期待できる。

たとえば解約金額が全て所得としてみなされるのではなく、その収入を得るために使った金額と、特別控除額として50万円を差し引くことができ、さらに、算出された金額の2分の1が一時所得となる。つまり解約差益が50万円ならば、所得は0円だ。投資信託で50万円の利益が出れば10万円以上の所得税が源泉徴収されることと比較すると、その優位性は明らかである。あえて、保険契約をいくつかに分割し、年度を替えて解約すればさらに、節税効果は大きくなる。

そもそも保険は長期契約を前提としたものである。それを否定するつもりは全くない。しかし、長期投資を言い訳にして、多くの銀行員は情報提供を怠ってはいないだろうか。売りっぱなしになっている保険はたくさん存在するはずだ。最終的な判断はお客様である。しかし、お客様にとって有益と思われる情報提供は積極的に行うべきであるし、その先に保険の乗り替えという選択肢があれば、全く問題は無いのではないか。株だろうが、投資信託だろうが、保険だろうが同じである。お客様の利益にかなうのであれば、私はむしろ積極的にさまざまな提案を行うべきだと考える。(或る銀行員)

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