JPモルガン・チェースは、長引く原油安の影響が追い風となっている原油輸入大国、インドの経済の見通しに関するレポートを発表し、「商用車」や「セメント」など5つの産業に需要の伸びが期待できると予想する一方で、インド準備銀行が2017年度における財政赤字を、2016年度の対国内総生産(GDP)比である3.9%と目標水準である3.5%の中間に値する3.7%に設定する--との見方を示している。

原油輸入国にとっては経済成長のチャンス

バラス・クマル氏を含むオペレーション・アナリストによって作成されたレポートの中で、「近年における原油価格の崩壊は、物価水準を引き下げインフレ懸念を後退させた」と、原油需要の8割を輸入に頼っているインド経済に大きな恩恵をもたらしている点を指摘した。

クマル氏率いるアナリストチームが「今年度のインド5大主要産業」として選んだのは、以下のセクターだ。

商用車産業

「中国を上回る大気汚染度」といわれる首都、ニューデリーに代表されるインドの公害問題は、常に環境保護団体の避難の的になっている。

近年インド政府が製造15年以上の商用車の利用禁止に乗り出し、農村地域への支援支出を引き上げていることから、今度買い替えも含めた商用車(とくにトラクターなどの特殊自動車や2輪車)の需要が伸びることが予想される。

セメント産業

インフラストラクチャーへの支出引き上げを検討中であるインド政府は、とくに道路整備に重点を置くと見込まれており、実現すれば「セメントバブル」が到来することは間違いない。

インフラストラクチャー産業

セメント産業同様、工業用地、公営住宅、道路、鉄道、公共施設建設などを含むインフラストラクチャーへの予算が拡大されることで、これらの工事を請け負う企業や機関は多大なる恩恵をこうむるだろう。

消費産業

金への輸入税が10%から6‐8%に引き下げられると予測されており、宝石商にとってはプラス効果をもたらすと予想。

法人税の引き下げも(30%から25%)予定されていることから、多くの企業が消費産業の盛り立てに活気づくはずだ。

国営(PSU)銀行

経営不振が続く国営銀行に最大340億ドル(約3兆8362億円)の資金を投じる声明を2月18日に発表したインド準備銀行だが、「財政赤字目標の達成を妨げかねない今回の追加資金投入が、国営銀行にとって有益に働く緩和対策となり得るか否かが勝敗をわける」という点にJPモルガンは注目している。(ZUU online 編集部)