マイナス金利,賃貸マンション
(写真=PIXTA)

連日、新聞やテレビで大きく報道される「マイナス金利」。連動して一部メガバンクを先頭に、住宅ローン利率を大幅に下げる動きが注目を浴びている。現在所有地を有し、将来的に賃貸住宅の建築を考えているオーナーにしても「好機」といえるだろう。アパートローンは住宅ローンに連動するケースが多いためだ。

この流れを受け、筆者にもマイナス金利を受けて孫のために賃貸マンションを建てるべきかと相談を受けることが増えている。ここでは、かわいい孫のために賃貸マンションを建てるべきかどうかについて見ていきたい。

マイナス金利と住宅ローンは違うもの?

日本銀行(日銀)の「マイナス金利政策」導入を受け、金融市場をはじめ影響が広がっている。雑誌やWEB記事でも、「マイナス金利で史上空前の住宅ローン低金利時代へ」との特集をよく目にするようになった。正直なところ、筆者にも数多くの原稿依頼が届いている。

ただ気になることは、マイナス金利が適用されたのは住宅ローンではない。この2種類の金利はどのような関係があるのだろうか、ということだ。まずはそれを理解したい。住宅ローンには金利が2種類ある。「変動金利」と「固定金利」だ。変動金利は民間の銀行ローン、固定金利は住宅金融支援機構のフラット35という定義が有名だろう。実際には例外もあるが、本旨ではないため割愛する。

さて、ニュースに流れている「マイナス金利」は何を指すのか。マイナス金利とは、民間銀行が日本銀行にお金を預ける際に、金利ならぬ「手数料」を取ることを意味するものだ。民間銀行は日銀にお金を預ける際、利息の代わりに手数料を渡さなければならない。これにより民間銀行は、「日本銀行に預けているくらいなら、(民間企業に)融資をしたり、自社で運用をしたりする方がいい」という判断となる。このため市場にお金を流すことが日本銀行(政府)の狙いだ。

つまりマイナス金利と住宅ローン金利(変動金利、固定金利)は別物。今回も「マイナス金利が住宅ローン金利に影響を与えるには、しばらく時間がかかる」と、専門家のあいだでも意見多数だったのが、メガバンクによる住宅ローン金利下げが始まった。住宅ローンの影に隠れがちだが、アパートローンの金利減少を受け、将来的に賃貸住宅な賃貸住宅を検討していた土地所有者から、「建てようか迷っている」という相談を受けることが多い。なかには、子どもや孫世代を含めた資産活用として考えているケースもある。

マイナス金利で孫のために賃貸マンションを建てるべきか

賃貸住宅は、建築構造によって、孫世代にもわたって資産活用の方法として効果的なものだ。たとえば鉄筋コンクリート造(RC造)建物の寿命を示す減価償却費計算上の「耐用年数」は47年と、木造の22年、鉄骨造(S造)の34年をはるかに超える期間、法人税の課税対象額を抑えることができる。ただ、ここでよく抜け落ちている視点が、「借入金そのもののリスク」だ。

多くの賃貸オーナーは(賃貸住宅の)建築費に自己資金だけでは足りず、銀行などの金融機関からアパートローンを借りる。このローンの金利が史上最低基準として話題になっているのだが、そもそもこの資金は「借入金」である。万が一想定通りの家賃収入が入らなければ、毎月発生するアパートローンの返済額を確保することが難しくなり、賃貸オーナーの自己資金から補てんする、いわゆる「持ち出し」が発生することになる。

ましてや、このアパートローンを30年、40年といった長期期間で借り入れた場合、その債務は借入を決めた当該世代のみならず、子世代、孫世代に債務が移っていくことになる。

2月26日に発表された「2015年国勢調査の人口速報値」によれば2015年10月1日時点で、5年前に比べて94万7305人(0.7%)減少したとのことだ。日本の人口減少は、1920年の調査開始以来、初のことで、いよいよ人口減少社会がはじまった。日本に在住する外国の方も含むため、賃貸住宅のニーズをはかる上で信憑性の高いデータといえるだろう。

そのなかで賃貸住宅の経営を行っていくのは、現在以上に難易度が高いことは間違いない。「マイナス金利」という情報のみで30年、40年の長期借り入れを決めるのではなく、(所有地のある)場所ははたして賃貸物件の建設に向いているのか、子世代・孫世代はいずれ引き継ぐ賃貸経営に前向きかを確認しておくことが大切だろう。まさに、「長期的視野」にもとづいて、賃貸経営をスタートさせる、優先順位を忘れないようにしたい。

確かに、金利の違いは借入金の総返済額を考えたとき、借入元本額によっては数百万円前後の大幅な差が生じる。この差は、賃貸経営のタイミングにおいてとても重要だ。だからこそ、長期的な視野をもって、次世代を含めた「家族」として判断するようにしたいものだ。

工藤 崇 FP事務所MYS(マイス)代表
1982年北海道生まれ。北海学園大学法学部卒業後上京し、資格試験予備校、不動産会社、建築会社を経てFP事務所MYS(マイス)設立、代表に就任。雑誌寄稿、WEBコラムを中心とした執筆活動、個人コンサルを幅広く手掛ける。ファイナンシャルプランナー(AFP)。

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)