非課税で投資ができる「NISA」、配当金の受け取り方によっては課税されることがあるのをご存じだろうか。何もかも非課税だと思って投資していた人にとっては思わぬ落とし穴になりかねない。そこで、今回は配当に課税されるシーンについて解説する。
NISAと配当課税の関係「株式数比例配分方式」がカギ
NISA制度の概要を簡単に説明すると、年間120万円までの範囲で株式の売買益や配当が非課税になるというもの。注意点として、非課税にするためには配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」でなければならないということだ。
株式数比例配分方式というのは、証券会社の証券口座に配当金が振り込まれるというもの。NISA口座は、証券会社の中の一般口座と区別されて管理されているので、NISAでの取引かどうかを判別することができるこの方法だけが非課税になるのである。
自分がどのような配当金の受け取り方法になっているかわからない方もいると思うが、銀行振込み(登録配当金受領口座方式)か郵便局での受取り(配当金領収証方式)になっている人は、20.315%の税金が源泉徴収されてしまう。
総合課税を選択すれば還付されることも
では、源泉徴収されてしまった場合、確定申告すれば戻ってくるのかというと残念ながらそれはないのだ。ただ、確定申告で総合課税を選択すると配当控除が受けられるので、高額所得者でなければ還付を受けられる可能性がある。具体的には、所得が695万円以下の場合には納めすぎた税額の還付が受けられる。
また、株式等で売却損がある場合には申告分離課税を選択して損益通算することができるので、仮に損益通算で利益が0になれば、源泉徴収された分は全額還付される。
配当受け取り方法の変更期限 3月・9月は特に注意
では、銀行振込や郵便局での配当受け取りだったので、これからは証券会社の口座への入金に切り換えたいという場合にはどうしたらいいのだろうか。この場合、ネット証券であれば、ホームページから配当金受け取り方法を変更できる。
ただ、複数の証券会社で取引をしている場合、1つの証券会社でこの変更をすると他の証券会社でも自動的に配当金の受け取りは証券会社の口座への入金になってしまうので注意してほしい。
なお、配当というのは権利確定日に株式を保有している人に支払われるものなので、権利確定日の前までに手続を終えていなければならない。ただ、証券会社によって変更手続きに要する期間が異なるので証券会社に確認し早めに手続をしておくことが大事である。
このように、NISAだからすべて非課税だと思っていると、知らずに源泉徴収されてしまっているということがある。源泉徴収は自動的に差し引かれるため、これまで気づかずに配当金を受け取ってきた方もいるだろう。配当の時期は会社によって異なるが、3月と9月の会社が多いので、心配な人は配当の受け取り方法がどうなっているか、すぐにでも確認してみて欲しい。(ZUU online 編集部)