新興国,投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

日銀がマイナス金利を導入したことで、銀行の預金に居心地の悪さを感じる人が増えているそうだ。もちろん、銀行預金がマイナス金利になるわけではないのだが、10年債の利回りもマイナスとなり、個人向け国債は募集が中止されてしまった。ぼんやりとした不安に囲まれつつ、なんとか資産を増やしたいと思っても国内での運用には限界を感じている人も多いのではないか。このような方にお勧めなのが新興国投資だ。22世紀になっても人口が減り続けると予測されている日本と違い、世界に目を向ければまだまだ大きな成長余地を残している国はたくさんある。とはいえ、新興国への投資では高いリターンが期待できる一方で、高いリスクも存在する。今回は、新興国に投資する際のリスクとリターンについて解説し、対処法を示す。

新興国投資の魅力は高いリターンと分散効果

新興国投資の魅力はいたってシンプルであり、高いリターンと分散効果の2点に集約できる。一般に企業の株価がその企業の収益率に比例するのと同様に、ある国への投資収益率はその国の成長率と高い相関があることが知られている。成長率は人口と生産性の伸びが決め手となるが、新興国の人口の伸びが先進国より高いことは明らかであり、また農業から製造業へと産業の構造転換が進むことで高い生産性の伸びも期待できる。過去のデータをみても、新興国の成長率は先進国をほぼ一貫して上回っており、将来的にこの構図が逆転するとは考えづらい。したがって、新興国への投資は高成長に裏打ちされたハイリターンが期待できるのである。

次に、新興国への投資はリスクの分散効果を高めるので、リスク管理という視点からも有用な投資先といえる。「すべての卵をひとつのかごに盛らない」のは投資のいろはの「い」であるが、これを専門用語では分散投資と呼ぶ。分散のさせ方は、主にアセットクラス、国・地域、通貨の3つがあり、これらを組み合われることもできる。アセットクラスの分散とは、株式、債券、商品、不動産といった異なるアセットクラスに分散して投資することを指し、さらに複数の国や通貨へと投資先を広げることで、全体としての資産価値の変動を抑えることができ、リスクを軽減できるとされている。

一つのものに集中して投資をすると、なんらかの要因でその資産の価値が急落した場合には資産の大半を失うことになりかねない。通常、国が違えは経済構造や成熟度がことなることから、景気循環も異なっており、それぞれの国に投資した資産価値の変動にはばらつきがある。

新興国投資にはさまざまなリスクやデメリットがある

新興国への投資は良いことばかりではなく、先進国にはないさまざまなリスクやデメリットを抱えることになる。主なリスクとしては、「政治的リスク」「流動性リスク」」「為替リスク」などが挙げられる。また債券へ投資する場合には「デフォルト(債務不履行)リスク」も考慮する必要がある。

政治的リスクはかなり幅広い概念で、カントリーリスクとも呼ばれる。極端な例としては戦争や内戦、政権の崩壊などが挙げられる。また、汚職や収賄、税制や会計基準の突然の変更、資本規制なども政治的リスクに含まれ、発生した場合には最もダメージの大きいリスクといえる。

新興国は先進国に比べて市場規模が小さいことから価格変動が大きくなりがちで、売りたい値段、買いたい値段で取引が成立せず、思わぬ損失を被ることもある。また、特に相場が大きく下げ、売りが殺到した場合に取引が成立しないこともあるかも知れない。このように、商いが少ないことで、売買のタイミングを逃したり、希望する価格で取引ができなかったりするリスクのことを流動性リスクと呼ぶ。

また、新興国ではブームに乗って大量の資金が流入した場合など、本来もっている価値以上に値上がりすることもありうるし、逆に不安材料が顕在化すると、急速に環境が悪化して価値以上に下落してしまうこともある。

為替リスクは新興国のみならず、海外投資には必ずついて回るリスクである。投資した国の株価が上昇しても、その国の通貨が下落した場合には損失を出す可能性がある。

また、デメリットとして挙げられるのが、コストの高さだ。端的に取引コスト(手数料)が高いのみならず、情報不足や情報収集に時間がかかり面倒といった目に見えない負担もある。インターネットが普及したとはいえ、国外で発生した不測の事態に関する情報を日本語で迅速に入手できるとは限らない。また、情報の正確性・信頼性などの問題もある。

見落とされがちだが、メリットのはずの分散効果が大事なときに実は効かない可能性がある。先進国と新興国で相場の相関が低いのは平時においてであり、危機が発生して相場が下げる局面では同時に下落する傾向にある。さらに悪いことに、新興国のほうが下げがきつくなることが多く、もっとも分散効果を発揮して欲しい「まさかの時」に最悪の結果を生みかねない。

長期に構えて広く分散させるのがコツ

ではこうしたリスクにどう対処したら良いのか? ひとことで言ってしまえば、長期スタンスで広く分散させることだ。変動が激しくて流動性も低く、取引コストも高いわけだから短期売買にはまったく向いていない。期待されるリターンが高いといえども、それはあくまで長期的な話であり、短期的に大きなマイナスを被ることもある。投資をするなら長期スパンでじっくり腰を据えることをお勧めする。

また、円資産のみを保有する場合に比べ通貨価値を分散させることができる。為替相場の変動は短期的にはリスク要因であるものの、長期的な投資であれば、分散効果によりメリットに変えることができる。

新興国である以上、政治的なリスクは避けられないので特定の国に投資を集中すべきでない。そう考えると、複数の国が含まれる投資信託やETFがおすすめで、特にETFは少ない金額から低コストで始められるので初心者には渡りに船となる。また、為替ヘッジ付きの投資信託やETFなら為替リスクを最小限に抑えることもできる。

新興国への投資はリスクが大きいが、リスク管理がしっかりできればその分大きなメリットが期待できる。大切なのは、高いリターンを追い求めることではなく、リスクを管理するという心構えとなる。(ZUU online 編集部)

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