“人生100年時代”が到来しています。定年後、20~30年続く“セカンドライフ”期間が延長となれば、当然、経済的な不安も増大。否が応でも、老後の家計防衛策を考える必要性が生じています。いまや“国民的”となりつつある、“未来のお金の悩み”を相談できる心強い相手といえば、FP(ファイナンシャルプランナー)のほかにはいません。家計再生コンサルタントとして活躍する横山光昭さんから全4回にわたり、将来への備えについてじっくりお話をお聞きします。
家計再生コンサルティングとは?
――まずは、“家計再生コンサルティング”とは、いったいどのようなお仕事なのか教えていただけますか。
横山さん:ベースはファイナンシャルプランナーであることは間違いないのですが、私たちはなかなか人には相談できないお金の悩み、例えば「貯金ができないんです」といったお話から聞かせていただいています。
時々、「貯金が全然できない」という以前に、「借金がある」という方がいらっしゃいます。そういう方にアドバイスをすることで、お金に関する考え方自体が大きく変わっていく様子をみさせていただくことに大きなやりがいを感じています。
わかりやすくお伝えすると、ファイナンシャルプランナーって結局、65点くらいの方を80点にするようなものなんです。それはそれでよいのですけれども、私は愛をこめて言いますが30点以下の人を65点や70点にもっていきたいと思っています。そういう意味合いを込めて、私たちは“家計再生”とうたっているのです。
必見!横山さんが一番にするアドバイスって?
――なかなか自分たちは貯金できないよね、という方々に対して、横山さんはいったい、どのようなアドバイスをされているのですか。
横山さん:そうですね。まずは貯められる家計条件を整えることが大切です。そのために現状を把握する必要があります。収入は当然わかりますし、使っているのも何となくわかっているんだけど、実際に内訳を書きだしてみると、全然、現状と違うという方々が割と多くいらっしゃるのですよ。
最近、よくある家計簿アプリを否定するつもりはありませんが、ただつけているだけという方も多い。ちゃんと使いこなせればいいと思うんですけれども、家計簿をつければ、それだけでお金が貯まるというわけではありません。便利な分、自分たちの家計の全体像の把握が意外にできにくくなっているかと思います。
例えば、年間で通してみたらプラスなのに、実状はボーナスや貯蓄からやりくりしていて、単月でみると、実は赤字であることにお気づきになっていないんです。帳面上の数字だけでとらえていると、現状が把握しづらくなっているようですね。
現状把握といっても、今、この瞬間だけではなく、少し長いスパンでみるべきだと思います。年間でどうなっているのか、あるいはもっと長く、人生を俯瞰してみることも大切です。
今をみて、そのうえで将来はどうなのか?をみていくんです。それをみるにあたり、私たちは「ライフプラン表」「キャッシュフロー表」を作ってお話しています。もちろん、現状が理解できていないままに「キャッシュフロー表」を考えたとしても、適当なものしかできません。絵に描いた餅みたいなもので、まったく意味がありません。
確かに、将来的には、“どのくらい年金をもらえるか”なんて読み切れないところはありますけれども、老後は、どれくらいのお金が必要かというのをシミュレートして、年金との差分を割りだしておくくらいはしておいたほうがよいですよね。
今日が一番若い!だからお金のことは今日から始めた方がよい
――受給できる年金との差分を計算し、長期計画を立てていくというイメージですか?
横山さん:そうですね。ある程度、早めに老後の必要額を算出して把握しておくべきでしょうね。ゴールに向かって道を歩いていたとします。横軸が時間、縦軸が金額という折れ線グラフをイメージしてください。このまま進んでいっても、全然、必要額に到達しません。早く気づけば、目標とする金額に至るまでの折れ線グラフの角度は浅いでしょうけれど、気がつくのが遅くなってゴール間際になると、必要額に到達するまでの角度が当然、大きくなってしまいます。
ゴール間際になって急に数千万円ものお金が必要だなんて話になっても、それを作るのは難しいですよね。やはりコツコツ積み上げていかないと。サラリーマンの方であれば、定年後、急に増やそうという考え方は危険ですね。
そして、いつから始めるのがよいのかといえば、それは、まさに「今」です。人生の中で一番若い日は今日なのですから。まずは現状をみて、定めているゴールは本当にここでいいのかを確かめる。そして正しいゴールを定めて、今、この時点からそこに向かって歩いていけばよいのではないでしょうか。
横山 光昭さん(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。株式会社マイエフピー代表取締役。
家計の借金・ローンを中心に、盲点を探りながら抜本的解決、確実な再生をめざす。個別の相談・指導では独自の貯蓄プログラムを生かし、リバウンドのない再生と飛躍を実現し、これまで8000 人以上の赤字家計を再生した。業界でも異端児的活動で、各種メディアへの執筆・講演も多数。雑誌、新聞、テレビ、ラジオでも活躍。Web では日本経済新聞社などで連載を公開中。全国の読者や依頼者から共感や応援の声が集まる、庶民派ファイナンシャルプランナー。
独自の貯蓄法などを紹介したシリーズ累計61万部の『年収200 万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめ、『約7000 世帯の家計診断でわかった!ずっと手取り20 万円台でも毎月貯金していける一家の家計の「支出の割合」』(ダイヤモンド社)、『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』(共著/新潮社)など著書も多数。
(提供:お金のキャンパス)
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